研究課題/領域番号 |
23659081
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高野 幹久 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (20211336)
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キーワード | トランスポーター / 低温忍容性 / 汎トランスポーター阻害剤 / 培養細胞 / GLUT / 生体膜輸送研究 |
研究概要 |
現行の実験手法から考えて、氷冷下でも機能するトランスポーターが存在した場合には、反応停止・洗浄中に基質の流出が起こり、適切なトランスポート実験が行えない可能性がある。本研究では、このような問題点を克服するために、各種トランスポーターの低温忍容性(氷冷下で機能するかどうかの性質)を解析した上で、低温忍容性を示す全てのトランスポーター機能を停止させる反応停止・洗浄液(汎トランスポーター阻害剤)の探索・開発を目指すことを目的としている。 前年度までは主に膜小胞系を用いてトランスポーターの低温忍容性を検討してきた。本年度は輸送研究に汎用される培養細胞系を用い、促進拡散型グルコーストランスポーターGLUTの低温忍容性について検討するとともに、汎トランスポーター阻害剤の探索・開発についても検討を開始し以下の知見を得た。 1)A549細胞、HepG2細胞における3-O-methyl-[3H]D-glucose (3-OMG)の見かけの取り込みは、反応停止液にGLUT阻害剤フロレチンを添加することで上昇した。また、氷冷下における3-OMGの取り込みに及ぼすフロレチンの影響について検討したところ、濃度依存的な阻害効果が観察され、培養細胞においてもGLUTは低温忍容性を示すことが明らかとなった。 2)汎トランスポーター阻害剤の候補物質として各種のタンパク質修飾剤・変性剤を用い、細胞からの3-OMG流出阻止効果を指標に検討した。その結果、尿素、ホルムアルデヒド、2-メルカプトエタノール、グルタルアルデヒドに期待する効果があることが判明した。またこれら物質を組み合わせることで、さらに強力な効果を示す可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膜小胞系で得られたGLUTの低温忍容性を、医薬品開発過程等での輸送実験においてより汎用される培養細胞系でも証明することができた。また汎トランスポーター阻害剤の探索・開発も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成25年度)は、本研究計画の最終年度にあたり、膜小胞系、培養細胞系の両者に利用可能な汎トランスポーター阻害剤を決定したい。そのためには、各種化合物の組み合わせや濃度を変化させて作成した多くの汎トランスポーター阻害剤候補について検討を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の推進方策に沿って検討を進めるので、研究経費は主に、輸送基質(RI標識体など)、タンパク質修飾剤・変性剤、培養細胞関連試薬・器具、採血管などの購入に充てる。また一部は、研究成果の学会発表のための旅費に充てる。
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