ヒヒト小腸においてCYP3A4とABCB1発現量には検体間で数十から数百倍の大きな個体間変動が存在するものの、両者の間には有意な正相関が認められた。このことから、両遺伝子の発現制御には共通の制御機構が関与している可能性を想定した。染色体上において両遺伝子が局在する領域の間に位置するCpG islandのメチル化状態は、一部のCG siteにおいて脱メチル化が生じていることが明らかとなった。これらの領域はCTCF結合領域と考えられることから、同CG siteの脱メチル化がコヒーシンモデルによるループ構造を惹起するという発現制御機構が予想された。CYP3A4とABCB1遺伝子発現に共通の機序の存在の可能性がある。
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