研究課題/領域番号 |
23659090
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
年森 清隆 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20094097)
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研究分担者 |
伊藤 千鶴 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80347054)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Muse 細胞 / 精巣内移植 / 精子幹細胞 / 精子形成 |
研究概要 |
種々の年齢のW/Wvミュータント雄マウス(セルトリ細胞はいるが精細胞がいない状態の精巣を持つマウス)の精巣内に、GFP-Muse細胞を所定の方法(論文で公表された方法)で調整した後、micro injectionしてその定着性を検討した。移植用の試料調整は、研究協力者のいる東北大学(仙台)で初期培養してMuse化を行い、その後に千葉まで移動してmicroinjectionを行った。Muse細胞はこれまでにやられたことのないヒト多能性幹細胞の移植実験であり、下記のことがわかった。1)生きたGFP-Muse生細胞は、移植する直前まで十分量(数)を維持し確保できる。従って、調整からmicro injection手技までには問題はないと思われる。2)しかし、移植前にGFP-Muse細胞をinjection培地に入れて、ある程度の時間浮遊状態に置くことになり、長ければ長い程自然凝集が起こり易かった。3)一旦、凝集が起こると精巣内へのinjection ができなくなる。4)その原因を種々検討したところ、アルブミンである可能性が高いことが分かった。そこで種々検討した結果、アルブミンを直前に入れた場合と入れない場合において、injectionできることが分かった。そこで、この条件下でGFP-Muse細胞のmicroinjectionを行い、移植後3ヶ月以上をおいて開腹して精査したところ、GFPのシグナルは間質内にバックグランド程度のみが認められるだけであった。今回の条件下で細胞調整して移植するだけでは、GFP-Muse細胞は精子細胞分化へと誘導されないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
3月11日、東北・仙台地方の大地震の影響やMuse細胞と移植に用いる培地とのマッチング、およびその精巣内microinjectionに対する至適な条件の設定が困難であったことが、遅れている主たる理由である。 しかし、Muse細胞と移植に用いる培地とのマッチングについては、injection培地内の問題(主としてアルブミンの存在)であることはすでに突き止め、年度内に克服できた。次の問題は新しい細胞であるMuse細胞の特徴的な性質を知る事であるが、Muse細胞を精巣内へ移植(microinjection)する段階では、まだまだ未知の予測されない障害があることが推測される。現時点では、GFP-Muse細胞を調整した後のそのままの状態では生殖幹細胞まで発生できないことが明確になったことは意味のあるデータであると思っている。
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今後の研究の推進方策 |
調整した後のGFP-Muse細胞が生殖細胞へと誘導されて、精子幹細胞までうまく導くための対策が必要である。その対策の一つは、恐らく、精子幹細胞への誘導方法であろう。そのためには、幾つかの遺伝子が必要であると思っている。現在まず、細胞レベルで検討するための遺伝子発現ベクターを構築している。今後、想定される必要な導入する遺伝子を選別しベクターに導入する。結果的に誘導が可能な遺伝子を同定し、Muse細胞を精巣内にmicroinjectionすることで解決を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、ヒト遺伝子の購入、ベクターへの導入、インジェクションのための動物等を含めて、関連する消耗品費等に全てを費やす計画である。
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