研究課題/領域番号 |
23659094
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 倫毅 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80456649)
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研究分担者 |
藤本 豊士 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50115929)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 肝再生 / 脂肪滴 |
研究概要 |
ヒトの脂肪肝は、組織学的には肝細胞内に中性脂質を蓄積した脂肪滴が多数存在している状態であり、最も一般的な肝障害の原因の一つである。脂肪肝は肝切除術後や肝移植後の肝再生を妨げる原因としても問題となっている。一方、正常な肝再生時にも肝細胞の脂肪滴形成が必要であることが報告されているが、脂肪肝に見られる脂肪滴との違いは明らかではない。本年度は、これまでの我々の実験で脂肪的分解への関与が示唆された脂肪滴局在タンパク質Protein XとProtein Yの発現量を変化させ、脂肪肝での脂肪滴を軽減させて肝再生を促進できるかどうかを見ることを目的として実験を行った。Protein XとProtein Yの発現量を減少させるために、siRNAのノックダウン効果をマウス繊維芽細胞を用いて確認した。その後、十分なノックダウン効果が得られたsiRNAをマウス尾静脈より導入した。肝臓全体および右葉/左葉/尾状葉/中間葉のそれぞれにおけるノックダウン効果を検討したが、現段階ではsiRNAの効果は見られていない。一方、Protein Xに関しては、Protein Xのエクソン1をloxP配列で挟んだマウスとAlbumin-Creマウスを交配させることで、肝臓特異的なコンディショナルノックアウトマウスを現在作製している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
siRNAを用いてのマウス肝臓における脂肪滴上タンパク質のレベルを減少させることが出来ていない。しかし、Protein Xのコンディショナルノックアウトマウスに関しては、Protein X {Flox/-, Albumin-Cre}×{Flox/-}を掛け合わせて{Flox/Flox, Albumin-Cre}作製を行っており、順調に進んでいる。また、中間葉と左葉を切除する70%部分肝切除術も習得できている。
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今後の研究の推進方策 |
部分肝切除術は習得できているので、尾静脈からのsiRNA導入による肝臓でのノックダウンマウスを作製することが急務である。尾静脈からのsiRNAの導入量や回数、更にはsiRNA配列やsiRNAでなくMorpholino-antisenseの検討を行うことが必要であると考えている。肝臓におけるノックダウンが出来次第、高脂肪食において脂肪肝を形成させたマウスを用いてノックダウンを行い、部分肝切除後に組織学的、生化学的に脂質量を計測することで肝再生の動態を検討する。脂肪肝モデルとしては、メチオニン-コリン欠乏食投与によるもの以外にも、長期高脂肪食負荷、レプチン及びレプチン受容体遺伝子変異によるob/ob/マウスやdb/dbマウスなど様々なマウスが使われており、それぞれインスリン耐性や炎症反応、肝組織繊維化/癌化などに違いがあることが報告されている。今後、研究課題を遂行するにあたり、長期高脂肪食負荷によるモデルマウスで検討し、他の脂肪肝マウスでの検討も行う。コンディショナルノックアウトマウスに関しては、長期高脂肪食負荷により脂肪肝の動態を組織学・生化学的に解析し、その結果をもとに部分肝切除をおこない、肝再生の動態を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗体、トランスフェクション試薬、siRNAやMorpholino-antisenseなどの薬品類、及び生化学実験に用いる器具類、マウスの購入やコンディショナルノックアウトマウス作製・維持費に使用する。更に、研究成果の発表のために使用予定である。
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