研究課題/領域番号 |
23659096
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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研究分担者 |
安永 晋一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (50336111)
白井 学 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子生物学部, 室長 (70294121)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ポリコーム複合体 / Geminin / 心臓幹細胞 |
研究概要 |
ポリコーム遺伝子群はショウジョウバエの遺伝学的解析から発見されたが、これらの遺伝子産物は複合体を形成し、ヒストンタンパク質をリン酸化やユビキチン化によって修飾することによって転写を制御し、発生制御において重要な役割を果たしている。研究室ではマウスポリコーム遺伝子群の一つRae28/Phc1のノックアウトマウスを作製することによって高等哺乳動物においては、ポリコーム遺伝子群が転写制御を介して発生を制御するだけでなく、細胞の増殖と分化を同時に制御しているGemininに対するE3ユビキチンリガーゼとして機能することによって造血幹細胞をはじめとした幹細胞の活性制御にも重要な役割を果たしていることをはじめて明らかにした。そこで、本研究では心臓発生におけるポリコーム複合体の役割をさらに詳しく明らかにするとともに、Gemininの発現動態に注目し、心臓内に存在する心臓幹細胞を同定することを目指している。心臓においてはPcgf5を含んだ新たなポリコーム複合体が機能していることを明らかにするとともに、ポリコーム複合体によってタンパク質レベルで制御を受けているGemininが高発現している細胞群が心臓において存在することを見つけた。これらの細胞群は心室や中隔にも散見されるが、他の研究室から心臓幹細胞が存在すると報告されている心房に最も多く存在することから興味深い。さらに心臓におけるポリコーム複合体の解析を進めるとともに、心臓においてGemininが高発現している細胞の特性について詳しい解析を進める計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心臓において機能しているポリコーム複合体の解析を進めるとともに、ポリコーム複合体をE3ユビキチンリガーゼとしてユビキチンープロテアソーム系で分解制御されるGemininタンパク質を高発現している心臓内細胞を同定することに成功した。本細胞は心臓幹細胞として機能していることが期待され、今後さらに詳しい解析を進める計画である。本研究はおおむね順調に進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
心臓で機能しているポリコーム複合体の解析を進めるとともに、その標的の一であるGemininを高発現した細胞を心臓幹細胞の候補として同定しているので、本細胞の心臓幹細胞としての働き、さらに幹細胞性を支持するGemininの分子機能について解析を進める計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画に必要な機器及び動物飼育施設は研究室や研究所及び研究センターの共同利用設備を用いて行う計画であり、新たな設備備品の購入は計画していない。そこで、研究費は研究用の消耗品の購入、謝金や英語論文校正費等に当てる計画である。
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