研究課題
次世代シークエンサーの出現後、蛋白をコードしないNon-coding RNAが次々に明らかにされ、これらが遺伝子発現や蛋白質翻訳、DNAメチル化やヒストン修飾に密接に関与していることが明らかとなりつつある。しかし、精巣の幹細胞分化機構におけるNon-coding RNAの関与はほとんどその実体が明らかにされていなかった。そこで、精巣幹細胞、前駆細胞特異的に発現している遺伝子の遺伝子座にGFPをノックインしたマウスを用いて、精巣の幹細胞・前駆細胞を、蛍光細胞分取装置を用いて純化した。これを材料に精巣幹細胞、前駆細胞それぞれに発現しているNon-coding RNA、特に、既知のlong non-coding(lnc)RNAや、小分子RNAの中でも蛋白の翻訳に関与しているmiRNAに焦点を絞り探索した。平成24年度は、昨年度まで回収細胞数が少なく達成できないでいた精巣幹細胞分画におけるlncRNA、miRNAの解析に成功し、その結果、既知のlncRNAは、幹細胞に比べ前駆細胞分画で多くの分子が発現していることが分った。一方、miRNAは、幹細胞、前駆細胞それぞれに高発現しているものをリストアップすることに成功した。精巣幹細胞に特異的に10倍以上高く発現してるmiRNAは25分子、逆に前駆細胞で10倍以上高く発現しているmiRNA分子は58個同定された。特に、前駆細胞において、幹細胞に比べ、100倍以上強く発現しているmiRNAが9分子同定された。現在、これらlncRNAとmiRNAの候補分子のなかから、幹細胞で発現が高いもの、前駆細胞で高い発現を示すものをそれぞれ10分子選び、新たに調整したRNAを材料に定量的に正しいか否か確認を行っており、おおむね再現性が取れていることがわかった。現在、in silicoで標的となる下流遺伝子の同定などを順次行っているところである。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Tumour Biol
巻: 33 ページ: 103-109
doi:10.1007/s13277-011-0252-8
巻: 33 ページ: 2365-2370