研究課題/領域番号 |
23659100
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
人見 次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00218728)
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研究分担者 |
磯貝 純夫 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (60212966)
木村 英二 岩手医科大学, 医学部, 助教 (50405750)
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キーワード | 発生・分化 / 細胞応答 / 脈管形成 / 血管新生 / 脳血管 / イメージング |
研究概要 |
特定器官の脈管形成と動静脈の運命決定から、階層性を持ったvascular treeの形成に至る血管系構築の全過程の詳細は不明であり、その分子機構に関する研究も断片的な事象を対象にしているに過ぎない。本研究では、初期脳血管系構築の全過程をライブイメージングし、明らかとなったイベントごとにその特異的な階層化の過程の分子機構を明らかにしていくことを目的としている。 24年度は、ゼブラフィッシュ胚の脳血管系形成過程の階層化のイベントを明らかにするために、ライブイメージングを引き続き行い、特に、動脈と静脈の成熟過程と周囲組織の関係に注目し、組織学的に管腔形成の時間経過を追った。 すなわち、凍結切片による観察から、受精後14時間-16時間にかけて、吻端および眼胞の後方に脳血管芽細胞塊とみられるEGFP陽性細胞塊が確認され、それぞれの細胞塊から血管内皮細胞が浸潤し、受精後24時間で内頸動脈、眼動脈、原始中脳血管、眼静脈などが形成された。また、走査電子顕微鏡による観察から、頭部で血管内皮細胞が血管を形成していく様子を捉えることに成功した。脳血管を形成すると思われる細胞は受精後14-16時間までは紡錘形をしていたが、18時間以降になると徐々に薄く広がりながら方向性を持って配列し、時間の経過と共に隣り合う細胞同士が結合し、徐々に管状の構造を形成していった。動脈と静脈で内皮細胞や血管壁の形態が異なることが示唆された。 12体節期 (受精後15時間) において、間脳および前脳と中脳の境界域の腹側でshhの発現が見られた。これはいずれも、吻側および眼胞腹尾側に出現する動脈性血管芽細胞塊と近接する位置であることから、脳血管系の動脈分化においてもshhが関わっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳血管系の構築の階層化の詳細なイメージングはほぼ終了し、初期の脳血管系発生の3次元ムービーとアトラスを完成することが出来た。それにより、階層化に関与するイベントの詳細も理解することが可能となった。しかし、当初の予定よりイメージングに時間が掛かり、イベント毎の分子機構の解析まで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、脈管形成に関わる既知遺伝子の発現局在を網羅的に解析し、その機能評価を行い、責任遺伝子を探索する。すなわち、脈管形成に関わる既知遺伝子の発現局在をin situ hybridizationで明らかにする。これにより、脈管形成時の責任遺伝子の探索を行う。MOもしくはmRNAのインジェクション等により責任遺伝子候補の発現制御を行い、二光子顕微鏡によるライブイメージングからそれらの遺伝子の脈管形成と血管新生への関与を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は16827円で、脈管形成に関わる既知遺伝子の発現局在解析のための試薬の購入に充てる予定である。
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