研究課題/領域番号 |
23659102
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
内山 安男 順天堂大学, 医学部, 教授 (10049091)
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研究分担者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80347210)
佐々木 光穂 順天堂大学, 医学部, 助教 (20432536)
砂堀 毅彦 順天堂大学, 医学部, 助教 (00407115)
鈴木 ちぐれ 順天堂大学, 医学部, 助教 (40536629)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細胞死 / DNaseII / CAD / ノックアウトマウス / 低酸素脳虚血負荷 / LMPCR / 海馬 |
研究概要 |
CAD欠損マウスと胎生致死を免れることが知られているDNaseIIとインターフェロン(IFN)βの受容体であるTypeI-IFNR遺伝子をともに欠損するダブルノックアウトマウスを交配し、CADとDNaseIIを共に欠損するマウス(CAD-/-DNaseII-/-マウス)を得た。CAD-/-DNaseII-/-マウスは出生時より他の遺伝子型のマウスより体のサイズが小さいが、低酸素-脳虚血(H-I)負荷を行う生後10日前後までは生存した。生後7日齢のCAD-/-DNaseII-/-、CAD+/+DNaseII-/-、CAD+/+DNaseII+/+マウスを用いて、左総頚動脈を結紮後、8%酸素92%窒素の環境下に25分暴露後する低酸素脳虚血負荷を行い、1日後に健常側と傷害側より海馬組織を採取した。得られた組織よりゲノムDNAを抽出し、DNA断片化を効率良く検出するため、DNAにlinker を結合した後PCR を行うLigation-mediated PCR(LMPCR)法によってDNA断片化を検討した。CAD+/+DNaseII+/+では、健常側と傷害側ともにDNAラダーが観察されたが、その程度は後者の方が強かった。CAD+/+DNaseII-/-においてもCAD+/+DNaseII+/+と同様の傾向を示した。一方、CAD-/-DNaseII-/-では健常側のDNAラダーは全く認めなかったが、傷害側においてはDNAラダーが依然認められた。健常側で見られるDNAラダーは生後7日頃に存在する海馬錐体細胞のプログラム細胞死を反映している。一方、患側のH-I負荷に伴う海馬錐体細胞の細胞死はDNaseII、CADのいずれにも依存せず、未知のDNaseが関与していることが示唆された。これらマウスを得るために、時間を要するが、これらマウスを用いて問題となるDNaseを検索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CAD+/+DNaseII-/-、CAD-/-DNaseII-/-マウスを用いた低酸素-脳虚血モデルにおける検討により、海馬錐体細胞のプログラム細胞死はCADに依存するがDNaseIIに依存しないこと、患側の低酸素負荷に伴う海馬錐体細胞の細胞死はDNaseII、CADのいずれにも依存せず、未知のDNaseが関与していることが遺伝学的に明らかとなった。これはCAD-/-DNaseII-/-マウスが新規DNaseを探索するための有用なモデルであることを示している。しかし、問題となるマウスを作製するのに時間を要する。
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今後の研究の推進方策 |
低酸素-脳虚血負荷後のサンプルと、健常の脳組織より抽出した核を用いてin vitroのDNAラダーのアッセイ系を確立する。その上で、増産したCAD-/-DNaseII-/-マウスをの低酸素-脳虚血負荷後のサンプルを調整し、低酸素-脳虚血負荷後の神経細胞死に関与する新規DNaseの特性を明らかにする
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費150万円のうち、110万円は低酸素負荷モデル作成、LMPCRなどのための消耗品費として利用する。30万円は学会発表、10万円は論文の英文校閲に用いる予定である。
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