研究課題/領域番号 |
23659104
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中村 桂一郎 久留米大学, 医学部, 教授 (20172398)
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研究分担者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 准教授 (00258401)
東 龍平 久留米大学, 医学部, その他 (70569516)
都合 亜記暢 久留米大学, 医学部, その他 (80569517)
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キーワード | 電子顕微鏡 / FIB/SEM / 超微細構造 / 三次元再構築 / ミトコンドリア / 間葉細胞 / 線維芽細胞 / compartmentalization |
研究概要 |
本研究は、ナノテクノロジーの技術革新により実現した新規概念の顕微装置(focused ion beam/scanning electron microscope; FIB/SEM)の生命科学研究への応用の最適化を目的として遂行した。材料系研究分野で発展してきた本装置は、1)走査型電顕の低加速電圧・高感度化、2)超微細精密切削を可能とするFIB技術開発、という最先端技術の融合により実現し、組織・細胞の三次元超微細構造解析に驚異的威力を発揮する。本装置がいち早く導入された当該研究者の所属施設では、今回交付された科学研究費助成(挑戦的萌芽研究)により、長年蓄積してきた形態研究のノウハウを活用し、本装置の能力が最大限に発揮できる観察法や試料作製法の最適化に取り組んできた。第1に、本研究の成果を公開することにより、これまでの電顕手技と得られた所見のギャップ故に理解され難かったFIB/SEMの医学生物学研究における能力と意義が認知されるようになった。また、肝細胞ミトコンドリアのcristae junctionの発見に続き、本年度は精嚢壁間質にみられる間葉細胞の詳細な解析により、それら細胞が分布する精嚢壁の領域・部位による形態の違いを見いだした。個々の細胞はこれまで考えられていたような、突起をもった形状ではなく、扁平であることを明確に示し、これらの細胞が全体としてゆるい隔壁を構築することにより機能的ユニットを形成していると解釈し、"comparmentalization"という概念を提唱した。これらの成果は、これまで主流であった共焦点レーザー顕微鏡をはじめとする光学顕微鏡、単独切片の透過型電子顕微鏡、また、酵素や塩酸を用いて消化処理した組織試料の走査型電子顕微鏡による観察では、固定法や観察分解能の限界により、決して明らかにすることはできなかったものであり、医学生物学的意義は大きい。
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