研究課題/領域番号 |
23659114
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
松下 正之 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30273965)
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研究分担者 |
片桐 千秋 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命助教 (00443664)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | TRPM7 / 糖尿病 / チャネル / キナーゼ / コレステロール / 代謝疾患 |
研究概要 |
(研究内容)TRPファミリーの内でも、TRPM7はイオンチャネル構造とキナーゼ活性を持つドメインより構成される特異な分子である。このチャネルの構造制御機構については詳細な報告がなされ理解が深まっているが、キナーゼ活性の役割については未だ不明である。我々は、TRPM7の生理機能とキナーゼ活性の意義を解明するために、TRPM7のキナーゼ活性のみを1アミノ酸置換により不活化した遺伝子改変マウスを作成した。この変異マウスは正常に発育するが、低コレステロール血症が認められた。本研究では、TRPM7変異マウスによって明らかになったこれらの代謝異常より、全く新しい視点からの代謝制御メカニズム構築に向けた研究を推進する。(研究成果)TRPM7のチャネル制御機構の解析:チャネル活性を電気生理学的に解析し、TRPM7の活性制御機構を検討した。その結果、細胞内のpHやMg2+イオンによるチャネル活性の意義について結果を得ることができた。さらに、細胞内のMg2+の影響はTRPM7の高親和性と低親和性Mg2+結合領域があることが示唆された。これらの結果は論文として発表した。TRPM7遺伝子改変マウスでの代謝機能解析:TRPM7変異マウスは発育異常は示しませんが、血液生化学検査により代謝異常があることが明らかになった。この変異マウスに正常食、高コレステロール食や、糖負荷試験などの代謝変化を促す刺激を加えた時の血液中の代謝指標を生化学的に調べた。1: 体重は変異マウスで10%程減少している。2:血中コレステロール、中性脂肪値が変異マウスで減少している。3:変異マウスで肝臓に膠原繊維の蓄積が見られる。(研究の意義)今後の研究により、TRPM7による新しい代謝制御機構の解明が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のチャネル制御機構については、順調に推移し論文も発表することができた。また、TRPM7変異マウスの解析でも血中コレステロール異常の分子メカニズムに関しての研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
低コレステロールの分子メカニズムを解明するためには、基質を明らかにする必要がある。キナーゼ活性の不活化により、異常が起きているので分子メカニズムとしてはキナーゼの基質を明らかにすることが重要である。(方法)次元電気泳動法によるキナーゼ基質検出1:TRPM7変異マウスと野生型より細胞培養を行う。2:各培養細胞を2次元電気泳動を行い、pro-Qダイアモンド染色で比較する。3:変異型で蛍光シグナルの低いスポットを質量分析で蛋白質を同定する。4:基質蛋白質が同定できれば、一連の生化学的解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)動物:平成23年度に比べ飼育個体数を半減させるため50万円を計上する。2)細胞培養:細胞培養関連試薬(バッファー、血清など)・消耗品を計(40万円)、培養プレートなどの滅菌プラスチック類(30万円)を計上する。3)生化学検査:結合蛋白質やキナーゼ基質検索のために50万円計上する。4)分子生物学試薬:変異マウスの遺伝子レベル研究関連試薬20万円計上する。5)旅費:関連学会で研究経過を発表・情報収集、研究討議のため学会参加費及び出張費を計上する(10万円)。
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