研究課題/領域番号 |
23659115
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
藤田 寿一 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30212187)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 初期化因子 |
研究概要 |
本研究は、1)初期化因子(Oct3/4やSox2あるいはNanog遺伝子)の発現を選択薬剤とGFPでモニターすることが可能な新規ヒトレポーター細胞株を樹立して、2)ゲノムワイドsiRNAライブラリー、あるいはES細胞由来のcDNAライブラリーをレポーター細胞株に導入して得られた生存細胞からsiRNAおよびcDNAを網羅的に同定し、初期化因子の発現を制御するネガティブ制御因子およびポジティブ制御因子を明らかにする。3)同定した発現制御因子群の立体構造をホモロジー・モデリングにより予測し、4)ドッキング・シミュレーションによるバーチャル・スクリーニングを行うことで、制御因子の活性化あるいは不活性化を引き起こす低分子化合物の検索と同定を行う。さらに今回、樹立した新規レポーター細胞を用い、制御因子群の活性を修飾する可能性のある候補低分子化合物の生物活性を検証することを目的とする。 平成23年度においてはヒト・ゲノムDNAを鋳型にして、Oct3/4, Sox2およびNanogのエクソン1をはさむ上流側の5'相同領域(5'アーム)および下流側の3'相同領域(3'アーム)をLong-PCRにより増幅した。増幅した5'アームおよび3'アームを用い、それぞれの5'アーム・エントリークローン(5'Oct3/4, 5'Sox2および5'Nanog)および3'アーム・エントリークローン(3'Oct3/4, 3'Sox2および3'Nanog)を作製した。また、ネオマイシン、ハイグロマイシンあるいはピューロマイシンの薬剤耐性遺伝子(Drug resitant gene)をインターナル・リボゾーム・エントリーサイト(IRES)をもつpIRES2-EGFPプラスミドに組み込んだレポーター遺伝子を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初期化因子(Oct3/4やSox2あるいはNanog遺伝子)の発現を選択薬剤とGFPでモニターすることが可能な新規ヒトレポーター細胞株を樹立するために必要なレポーターノックイン・ターゲッティング・ベクターの構築するにあたり、Oct3/4, Sox2およびNanogのエクソン1をはさむ上流側の5'相同領域(5'アーム)および下流側の3'相同領域(3'アーム)のLong-PCRによる増幅のための条件設定に当初の予定より予想以上の時間を必要とした。 また、Long-PCRにより増幅した各PCR遺伝子産物の塩基配列を決定し確認を行ったところ、予想を上回る塩基配列の変異が明らかになり、正確な各5'アーム・エントリークローン(5'Oct3/4, 5'Sox2および5'Nanog)および3'アーム・エントリークローン(3'Oct3/4, 3'Sox2および3'Nanog)を構築するためにも相当の時間を費やす必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に作製した各レポーターノックイン・ターゲッティング・ベクター(ネオマイシン、ハイグロマイシンあるいはピューロマイシンの薬剤耐性遺伝子を含む)をエレクトロポレーションによりヒトiPS/ES細胞へ導入する。次に、各レポーターノックイン・ベクターは、内在性プロモーターを利用するように設計しているので、ネオマイシン、ハイグロマイシンあるいはピューロマイシンを含む培地で培養して、生存してくるクローンを選別する。 さらに、相同組み換えによるノックインが正確に起こり、薬剤耐性遺伝子-IRES2-GFP-pAカセットがOct3/4、Sox2あるいはNanogの各内在性プロモーターの下流に正しく挿入されていることをPCRにより確認し、樹立したOct3/4、Sox2あるいはNanogの各レポーター細胞を分化させた後、ネオマイシン、ハイグロマイシンあるいはピューロマイシンを含む培地で培養した場合には、選択薬剤感受性になり細胞が完全に死滅することを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の実験計画に照らし合わせて、厳正かつ効率的に研究予算を執行する。
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