研究課題/領域番号 |
23659116
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小比類巻 生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40548905)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細胞運動・形態形成・細胞間相互作用 / 微小管 / ナノイメージング / in vivo |
研究概要 |
本研究は、マウスin vivoにおいて生体内分子動態をナノメーター精度で観察しつつ、それと同時に生理学的情報も同期取得することにより、生きた個体内の機能性タンパク質の挙動を個体の生理学的情報と融合して解析する手法を開発することを目的としている。 具体的には、運動性の高い腫瘍細胞や、心筋・血管平滑筋細胞中の構造タンパク質および関連タンパク質(例えばα-ActininやEB1)の動態変化をマウス・ラットの生体内においてナノメーター精度・高時間分解能で解析定量する手法の開発を目指している。 23年度は主にin vivo観察のためのマウス手術法およびそれに必要な器具の設計を行い、in vivo観察に適したマウス手術法を確立した。それと並行して観察する対象に合わせた顕微鏡周辺器具の設計・改造も行った。具体的には、心拍・呼吸による振動を抑えて保持する特注マニピュレータ・カバーガラスを作製した。また、より高い観察精度を達成するために画像を水平方向または鉛直方向へ合わせるカメラ回転装置も作製した。 その結果、in vivoでの観察において100fps、~30nmの高い時間分解能と観察精度を達成した。このことは、生体の細胞内に存在する細胞内タンパク質の挙動をナノメーター精度で経時的に観察することが可能になったことを意味しており、あらゆる疾患の病態および細胞外環境変化や薬剤などの影響に関する、分子レベルの詳細な観察を可能にする技術の基礎となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は主にin vivo観察のためのマウス手術法およびそれに必要な器具の設計を行い、in vivo観察に適したマウス手術法を確立した。それと並行して観察する対象に合わせた顕微鏡周辺器具の設計・改造も行った。具体的には、心拍・呼吸による振動を抑えて保持する特注マニピュレータ・カバーガラスを作製した。また、より高い観察精度を達成するために画像を水平方向または鉛直方向へ合わせるカメラ回転装置も設計・作製した。その結果、in vivoでのGFP標識タンパク質の観察において100fps、~30nmの高い時間分解能と観察精度を達成した。 以上のように23年度に計画していた手術法の確立と顕微鏡周辺装置の設計と作製は順調に達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はin vivoにおけるいくつかの問題点を解決しつつin vivoにおける分子動態と生理学的データの融合を図っていく。まず自家蛍光の高い生体内において分子の挙動をより高精度で観察するため、観察の標的となる分子・構造の選定や標識方法の検討を行っていく予定である。具体的には、生体内での抗体融合Qdotの効率的な利用法と導入法の検討、GFPをはじめとする種々の蛍光標識タンパク質を用いた系を検討し、最も精度よく観察できる条件を探っていく。さらに、ナノイメージングによる生体内分子動態情報と生理学的情報を同時に取得するため、蛍光顕微鏡像と心電図や血圧を同期して測定できる装置系を構築する。 これらの標識方法と装置系を用いて生体内タンパク質(例えばα-ActininやEB1)の観察技術の確立に成功したならば、その後は本研究の技術を駆使して、正常組織と病態組織の違いや薬剤投与時の生体内分子の挙動の変化を調査していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費は23年度に引き続き、主に試薬、実験動物とその飼育維持費、ガラス器具等の消耗品に1900千円を当てる予定である。また、研究成果について学会で発表するとともに、一流の欧文雑誌に投稿し、研究成果を広く国民に還元する。よって、国内学会旅費および論文校閲費を申請する。
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