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2012 年度 実績報告書

視索上核低浸透圧センサー同定によるバソプレッシン分泌抑制メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23659118
研究機関生理学研究所

研究代表者

岡田 泰伸  生理学研究所, -, 所長 (10025661)

研究分担者 佐藤 かお理  生理学研究所, 細胞器官研究系, NIPSリサーチフェロー (60614196)
キーワード低浸透圧センサー / バソプレシン / 視索上核 / アニオンチャネル / タウリン / グリシンレセプター
研究概要

体液の浸透圧の調節に主役を果たす抗利尿ホルモンであるアルギニンバソプレッシン(AVP)を産成・放出するAVPニューロンは、視索上核と室房核に局在しており、脳下垂体後葉にまで軸索を伸ばし、その神経終末で体液浸透圧の変動に応じてAVPの分泌を行っている。低浸透圧条件下での神経終末AVP分泌抑制のメカニズムに関する最近の仮説は、下垂体後葉のアストロサイトが低浸透圧性膨張時に放出するタウリンがパラクリン的にAVPニューロン軸索終末付近のグリシンレセプター(GlyR)を活性化させて、膜を過分極することによって興奮性を抑制してAVP分泌を抑制するというものである。しかしながらこの説には種々の問題を含んでおり、未だ議論が多い。本研究では、この仮説に挑戦し、視索上核における低浸透圧センサーメカニズムを解明することを目的としている。23年度は、ラットSON領野のアストロサイトの初代培養系からのタウリン分泌を質量分析法を用いて定量した結果、低浸透圧条件下において有意に増大し、これは容積感受性外向整流性アニオンチャネル(VSOR)の特異的なブロッカーDCPIBにより有意に抑制されることを見出した。24年度には、AVPニューロンにパッチ・クランプ電流固定法を適用し、細胞外へのタウリンの投与が、過分極ではなく脱分極をもたらすこと、更にはこれによって自発的神経興奮を完全に消失させること、そしてこれらの反応はGlyRアンタゴニストであるストリキニンで完全に阻止されることを明らかにした。以上の結果より、低浸透圧センサーは視索上核アストロサイトのVSORであり、これを通って分泌されたタウリンは視索上核AVPニューロンのGlyRを刺激して(過分極ではなく)脱分極をもたらすが、その際のコンダクタンス増によるシャント効果で興奮性が抑制されることとなり、その結果、AVP分泌が抑制されることが結論された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Volume-sensitive anion channels mediate osmosensitive glutathione release from rat thymocytes.2013

    • 著者名/発表者名
      RZ Sabirov
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 8 ページ: e55646

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0055646

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvements of the ABC protein ABCF2 and α-actinin-4 in regulation of cell volume and anion channels in human epithelial cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Y Ando-Akatsuka
    • 雑誌名

      Journal of Cellular Physiology

      巻: 227 ページ: 3498-3510

    • DOI

      10.1002/jcp.24050

    • 査読あり
  • [学会発表] Study on the hypoosmolarity sensing mechanism in arginine-vasopressin neurons:Reexamination on the taurine hypothesis.

    • 著者名/発表者名
      佐藤(沼田)かお理
    • 学会等名
      第90回 日本生理学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都)
  • [学会発表] Multiple activation and regulation mechanisms of the volume-sensitive outwardly rectifying anion channel.

    • 著者名/発表者名
      岡田泰伸
    • 学会等名
      2012 International Ion Channel Conference "The New World of Anion and Cation Channels"
    • 発表場所
      Jeju Island (Korea)
    • 招待講演
  • [図書] “Patch Clamp Techniques - From Beginning to Advanced Protocols”2012

    • 著者名/発表者名
      岡田泰伸
    • 総ページ数
      439
    • 出版者
      Springer
  • [備考] 生理学研究所 機能協関研究部門+岡田研究室ホームページ

    • URL

      http://www.nips.ac.jp/rvd/

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公開日: 2014-07-24  

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