研究課題/領域番号 |
23659119
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
園山 慶 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90241364)
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研究分担者 |
坪田 敏男 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (10207441)
滝口 満喜 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (70261336)
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キーワード | 冬眠 / 消化管 / 上皮細胞 / シリアンハムスター |
研究概要 |
本研究では、シリアンハムスターとツキノワグマを冬眠動物のモデルとして用い、活動期と冬眠期におけるI. 腸内細菌叢の比較、II. 腸内の抗菌・静菌活性の比較、III. 腸粘膜透過性の比較、IV. 粘液および分泌型イムノグロブリンAの産生・分泌の比較、V. 腸粘膜上皮の密着結合の比較、を計画した。今年度は、シリアンハムスターを用いてIIおよびIIIの一部を実施した。II. 腸内の抗菌・静菌活性については、Salmonella typhimurium SL-3770、Staphylococcus aureus AHU 1142、およびSaccharomyces cerevisiae AHU 3118に対するハムスター腸内容物の抗菌・静菌活性についてペーパーディスク法を用いて調べたところ、冬眠個体と活動個体で差はなく、活性はきわめて低かった。また、III. 腸粘膜透過性については、腸間膜リンパ節への腸内細菌の移行に関して、細菌の16S rRNA遺伝子のPCRによる検出を試みたが、冬眠個体および活動個体ともに検出限界以下であった。さらに、免疫組織における細胞組成をフローサイトメトリにより分析した結果、肝臓および脾臓においてB細胞の割合が活動個体に比較して冬眠個体で高値を示し、小腸および結腸の粘膜固有層におけるTh17細胞およびTreg細胞の割合は冬眠個体と活動個体の間で大差はなかった。以上の結果より、冬眠期においても消化管粘膜における感染防御機能および免疫制御機能が維持されているものと推察した。加えて、平成23年度の研究で明らかにした冬眠ハムスターの腸粘膜上皮の細胞更新遅滞現象に関して、精密に細胞更新速度を推定するための新規手法を開発した。なお、I. 腸内細菌叢の比較については、ツキノワグマの菌叢に関して16S rRNA遺伝子の次世代シーケンシングによる解析を実施中である。
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