研究課題
中高年者で熱中症が増加しているが、その主な原因は不活動による体温調節能劣化が関与している可能性が高い。その理由は、不活動によって、糖尿病の罹患率が高くなるが、最近我々は、運動後に肝臓でのアルブミン合成、腎臓でのNaの再吸収量がインシュリンによって亢進することを明らかにした。この両者は運動による血液量の増加を促進するように働くので、もし、糖尿病に罹患し、インシュリンの感受性が低くなれば、血液量が減少し、体温調節能が劣化する、と考える。一方、不活動による糖尿病の発症原因として、体内の慢性炎症が挙げられる。すなわち、慢性炎症が脂肪細胞におこれば、結果としてII型糖尿病になる。そこで、この慢性炎症のキー遺伝子であるASC遺伝子が、運動トレーニングによってどのように修飾を受けるか、その結果、体温調節能がどのように改善されるか、を明らかにすることを目的とした。中高年女性15名に2012年2月から9月の5ヶ月間のインターバル速歩トレーニングを行い、その前後で、体力(持久力、筋力)、血液量、血漿アルブミン量、体温調節能、腎臓のNa再吸収量、糖負荷時のインシュリン分泌の感受性、ASC遺伝子のメチル化を測定した。体温調節能は、市販されている下腿加温装置を用い、加温中の舌下温を熱電対で、皮膚血流をレーザードップラー法、発汗をカプセル法で測定した。腎臓のNa再吸収量は、クレアチニンクリアランスと血中、尿中Na排泄速度から算出した。その結果、トレーニング後に持久力、血液量、血漿アルブミン量が増加し、体温調節能が改善した。インシュリン感受性、腎臓のNa再吸収量、ASC遺伝子のメチル化については、現在解析中である。
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Scandinavian Journal of Medicine Science in Sports
巻: (in press)
DOI:101.1111/sms.12067
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