研究課題
オプトジェネティクスは、光によって活性化されるタンパク質(チャネルロドプシン2(ChR2)やハロロドプシンなど)を特定の神経に発現させ、その神経活動を光によって操作し、個体の行動を制御する技術である。しかし、これらの分子は長時間の光刺激では脱感作するため、発現から完了までに時間がかかる行動(摂食、睡眠覚醒、性行動などの本能行動)の制御は難しかった。そこで、本研究では、哺乳類の網膜神経節細胞に発現する光感受性色素である「メラノプシン」に着目し、特定の神経細胞への異所性発現によって、長時間神経活動を制御する方法を開発し、本能などの行動を調節する神経機構を解明することを目的としている。メラノプシンは一部の網膜神経節細胞に発現する光感受性色素である。メラノプシンを異所性に発現させた遺伝子改変マウスを作成し、光を用いてその神経の機能を操作する。睡眠覚醒に重要なオレキシン神経細胞にメラノプシンを発現する遺伝子改変マウスを作成した。組織化学的解析により、オレキシン神経特異的にメラノプシンが発現していることを確認した。また、スライスパッチクランプを用いてオレキシン神経活動がパルス青色光照射によって長時間持続的に活性化することを確認した。そこで、個体動物を用いて、視床下部に光を照射し、オレキシン神経活動を操作した。マウスが徐波睡眠時にオレキシン神経細胞を活性化すると、睡眠から覚醒に移行することを示した。これらの結果をまとめてNeurosciemce Researchに投稿し、掲載された。
1: 当初の計画以上に進展している
メラノプシンの異所性発現によって、神経活動の操作と個体行動の制御に成功している。組織化学的に発現を確認し、電気生理学的解析によって機能を確認した。睡眠覚醒に重要なオレキシン神経細胞特異的に発現させて、脳内に光を照射することによって、個体の睡眠覚醒を制御できた。この成果をまとめてNeuroscience Researchに報告した。
今後はオレキシン神経細胞以外の神経細胞にメラノプシンを異所性に発現させ、その機能を光で操作することによって、その神経が担う生理機能を個体レベルで明らかにすることを試みる。
当初の予定通りの執行を行う。
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