研究課題/領域番号 |
23659139
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高濱 和夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (80150548)
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研究分担者 |
白崎 哲哉 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (30264047)
副田 二三夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (10336216)
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キーワード | ヒト血漿タンパク質 / 鎮咳作用 / 難治性咳嗽 / 血液凝固 / 鎮咳薬 / コデイン / モルモット |
研究概要 |
これまで、ヒト血漿タンパク質F-XIaは、ng/kgの極微量で様々なモルモット咳嗽モデルにおいて鎮咳活性を示し、末梢性に鎮咳作用を発現することを示唆していた。そこで本年度は、まず第一に、上記の知見を確実にするとともに、F-XIaの鎮咳作用プロフィールについてさらに検討を加えた。第二に、血液凝固カスケードに関わるF-XIa以外の物質が鎮咳作用をもつのか否かについて検討を加えた。第三に、F-XIaを気道へ直接噴霧した場合の鎮咳作用を器械的刺激法を用いて検討した。第四に、無麻酔、無拘束のモルモットに咳刺激物質のブラジキニンを静脈内注射して咳を発現する系を作成し、この咳に対して、F-XIaが鎮咳作用をもつのか否か調べた。 その結果、(1)F-XIaは、正常モルモットのクエン酸誘発咳、ACE阻害薬処置や亜急性気管支炎モルモットの難治性咳を4~8ng/kgという極微量で強力に抑制することを確認した。新たに作成した、GERD様モデルにおいて、コデインはクエン酸噴霧による咳に対して有意な鎮咳作用を示さなかったが、F-IXaはng/kgの用量レベルで、有意な鎮咳作用を示した。(2)血液凝固カスケードに関与するF-XIやトロンビンは、正常動物の気管喉頭部側および分岐部側の器械的刺激で起こした咳およびクエン酸噴霧による咳をいずれも抑制しなかった。(3)F-XIaの下気道への直接噴霧は、μgオーダーと用量は増加したが、有意な鎮咳作用を示し、噴霧剤の剤形で臨床応用できる可能性が考えられた。(4)静脈カテーテルを植え込み無麻酔、無拘束下で自由に動きまわれるモルモットに、そのカテーテルを介してブラジキニンを0.03~0.1 nmol/kg注入すると咳様の呼息反射を惹起した。この咳様反射に対してF-XIaは有意な抑制作用を示さなかった。この反射が咳であるのかないのかの検討を含めて今後検討する必要がある。
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