研究課題/領域番号 |
23659141
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
櫻井 隆 順天堂大学, 医学部, 教授 (70225845)
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研究分担者 |
根本 直人 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60509727)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 神経科学 / プロテオーム / 組換え抗体 / 薬理学 |
研究概要 |
神経細胞は複雑な構造を持ち、グリア細胞との局所的な相互作用により機能調節を受けている。これに関わる細胞表面分子を探索し機能解析するためには、相互作用の場における時間分解能の高い方法を用いる必要がある。フルオレセイン標識抗体と光照射によるリアルタイム蛋白質不活性化法 (FALI) はそれに適した方法であるが、標的となる表面分子に対する抗体の調製に多大な時間と労力を要することが大きな障害となっていた。本研究では、無細胞系の抗体ディスプレイ法としてcDNA ディスプレイ技術を用いることによりこの問題を克服し、FALIを用いた細胞表面機能分子探索及び機能解析を行うための基盤技術を確立しようとするものである。本年度は、組換え抗体のcDNA ディスプレイ化及び神経-グリア相互作用のモデル実験系の検討を中心に行った。 組換え抗体は、抗原結合に関わる可変領域により構成されており、直接抗原と接触する3つの超可変領域とそれらをつなぐ4つの共通性の高いフレームワーク領域からなっている。両端の共通部分に相当するプライマーを用いることにより、多クローンからなる組換え抗体ライブラリー由来DNAをPCR増幅し、ピューロマイシンリンカーと連結する過程の条件検討を行った。今後、研究分担者である根本らにより開発・改良されたフルオレセイン標識ピューロマイシンリンカーを用いてモデル系における検討を行う予定である。 ラット脳からの初代培養の条件検討を行うとともに、神経-グリア相互作用に重要な役割を果たすことが知られているニューレグリン-erbB受容体相互作用をモデル系として用いるため、発現用プラスミド調製、組換え蛋白質発現、安定発現株化細胞の作製、抗体による受容体リン酸化検出条件検討等の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組換え抗体ライブラリー由来DNAを鋳型としてPCR増幅し、ピューロマイシンリンカーと連結するために必要なPCRプライマーが非常に長いため、効率的増幅条件の検討に時間を要した。現在、ほぼ目処が立っており、モデル系における cDNA ディスプレイによる組換え抗体クローンの選択・増幅過程の条件検討に入る予定である。モデル系を用いた実験の準備に関しては、多少の変更があったものの当初の予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ピューロマイシンリンカーの開発者であり、その高効率化・簡便化に実績のある研究分担者と引き続き密接に協議を行いながら、組換え抗体ライブラリーをcDNA ディスプレイするための条件検討を進める。引き続きモデル系を用いた実験に適用するための準備を進め、cDNA ディスプレイ組換え抗体の選択、増幅を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定通り主にcDNAディスプレイや細胞培養のための試薬・消耗品等に用いる。
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