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2011 年度 実施状況報告書

新規ミトコンドリア融合抑制因子HPGBによる心臓/代謝機能制御の同定

研究課題

研究課題/領域番号 23659143
研究機関兵庫医療大学

研究代表者

馬場 明道  兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (70107100)

研究分担者 新谷 紀人  大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10335367)
早田 敦子  大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (70390812)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードミトコンドリア / 心臓 / 膵臓 / 遺伝子改変マウス / 糖尿病 / マイトファジー / ミトコンドリア病
研究概要

本研究では、代表者らが同定した新規ミトコンドリア動態制御因子の生理・病態的機能を、(1)遺伝子ノックダウン系、(2)アデノウイルス等の過剰発現系、(3)部位特異的な過剰発現マウス、の構築と利用により、主に心臓/代謝機能制御の視点から明らかにすることを目的として実施し、平成23年度は以下の結果を得た。1. (1)について計画通りに実験系構築を達成し、本実験系での検討から、これまで過剰発現系の検討で示唆されていた"世界初のミトコンドリア融合抑制因子"としての機能を内因性のタンパク質レベルで実証した。また本分子がミトコンドリアの膜電位形成など、その正常な機能維持に重要な役割を果たすことも明らかにした。2. (2)について、本分子の融合抑制作用の詳細を解析したところ、興味深いことにその作用がミトコンドリア内膜選択的に発現することを明らかにした。また、同分子の機能がリン酸化によって制御される可能性を見出すなど、本分子が他のミトコンドリア動態制御因子とは際立って異なる性質を有する分子であることを示唆した。3. (3)について計画通りに実験系構築を達成し、本分子が生理的条件下での心機能、および糖尿病病態下での膵機能制御に関与する可能性を見出した。同実験系の活用により、次年度には極めて多くの成果が得られると期待される。4. 特筆すべき成果として、本分子の有するミトコンドリア融合抑制作用が、機能低下ミトコンドリアのミトコンドリアネットワークからの隔離に関与する可能性を見出し、ミトコンドリアの廃棄(マイトファジー)との関連を示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平均すると「おおむね順調に進展している」と評価できる。研究目標を達成する上で必要な3つの実験系の構築と利用に関する具体的な達成度は以下のとおりである。・(1)遺伝子ノックダウン系、については計画以上の進展が見られたと評価できる。かなりの時間と経費を費やしたが、8割以上のノックダウン効果を有する配列が3種類同定できたことに加え、これらをカクテルとして利用することでオフターゲット効果を極力排除した実験系を構築できたこと、さらに同実験系によってミトコンドリア形態に加え機能制御における本分子の重要性が実証できたことがその理由である。・(2)アデノウイルス等の過剰発現系、についてはやや遅れていると評価できる。レンチウイルスを用いた非増殖性細胞への遺伝子導入系がほとんど達成できていない一方、アデノウイルスを用いた検討からは同分子の生理機能や作用メカニズムに関する多くの知見が得られたからである。・(3)部位特異的な過剰発現マウス、についてはおおむね順調に進展していると評価できる。抗体を用いた発現分布解析については別途新たに抗体作製を行う必要があると判断される結果を得るに至ったものの、心臓および膵臓の生理機能制御における役割について当初の計画にある検証をほぼ達成したと共に、糖尿病病態下での役割を示唆する興味深い知見を得ているためである。・またマイトファジーとの関連については、極めて興味深い知見であり高く評価できる成果と言える。

今後の研究の推進方策

現状では、当初の計画から遅れている項目がある一方、計画以上の進展が見られている項目もある。このような状況では、遅れを取り戻すことに重点を置くことが必ずしも第一選択とは言えず、本研究ではむしろ、計画以上の進展が見られている項目に重点を置き展開を図りたいと考えている。例えば、(2)アデノウイルス等の過剰発現系、に関してはリン酸化制御による活性調節に関する解析に重点をおくことで各種ミドコンドリア動態制御因子のなかでの本分子の特質性を際立たせる方向へと展開し、(3)部位特異的な過剰発現マウス、に関しては新たな抗体作製について若干の努力は行うものの、主としてその表現型変化の同定に重点を置いた解析をする。さらには、マイトファジーの分野が現在極めてホットな研究分野であることからも、本分子とマイトファジーとの関連については特に重点的に解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画どおり、本年度得られた知見の発展的解析/展開を図るべく、(1)遺伝子ノックダウン系、(2)アデノウイルス等の過剰発現系、(3)部位特異的な過剰発現マウス、のこれまでの解析結果を総体的に捕えつつ予算を執行する。また新たにマイトファジーとの関連についても予算配分を行い、検討を加える。その他、本年度の研究費は、成果発表に必要となる投稿論文の英文校正費や、学会発表時の旅費としても使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] ミトコンドリアの融合を阻害する因子であるHPGBはマイトファジーを促進する2012

    • 著者名/発表者名
      東 信太朗、他
    • 学会等名
      第85回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2012年3月14日
  • [学会発表] ミトコンドリア融合阻害因子 HPGB の分子内機能領域の同定2011

    • 著者名/発表者名
      片木 和彦、他
    • 学会等名
      第119回日本薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      ウィンクあいち(愛知県)
    • 年月日
      2011年7月8日
  • [備考]

    • URL

      http://molpharm.umin.jp/

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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