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2012 年度 実施状況報告書

Creマウスを用いた新たなin vivo分子機能解析法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23659151
研究機関岐阜大学

研究代表者

長岡 仁  岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20270647)

キーワード遺伝子組換え / リンパ球 / 転写因子 / 細胞分化
研究概要

本研究は、Cre 依存的に遺伝子や RNAi を発現誘導できるウィルスベクターを開発し、Cre トランス ジェニックマウスに導入する事で、in vivoでの分子機能解析を格段に迅速化し、Bリンパ球の分化の解析に応用する事を目指す。系を確立するためのレトロベクターを作製し培養細胞の系に導入した。系の特性上転写産物の構造は、レポータータンパク質の相補配列を含む等複雑であるが、発現効率等検討中である。
また、in vivoでの解析系に用いる予定のAicda遺伝子にcreを導入したマウスの性質を詳細に検討し、Bリンパ球に加えてTリンパ球でもAicda遺伝子の発現が認められる事を昨年初めて明らかにしたが、更にその表現型からこのTリンパ球集団が担癌状態や加齢に伴い出現する抑制性を持つTリンパ球亜集団の一部であり、同病態に伴い現れる免疫抑制状態に関連する可能性が示唆された。その為、本システム完成時の解析応用を行う優先順位の高い標的と考え、Aicda発現Tリンパ球を分画しその遺伝子発現をgene chipを用いて網羅的に解析した。その結果Aicdaの発現の上昇を確認したのに加えて、転写因子Bcl-6、NF-kB c-Myb, E2Fファリミーの一部の転写上昇が認められる事を明らかにし、他にも炎症関連遺伝子8個と細胞周期制御関連遺伝子5個の上昇を認めた。いずれもノックアウトによる解析では免疫応答自体を抑制する可能性が高い遺伝子であり、且つこの抑制性サイトカインを発現するTリンパ球亜集団の分化への関与の可能性が示唆される重要な知見である。本系での解析の標的としも重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ウィルスベクター構築後、培養系にて発現の確認を行う過程で、期待よりも予想外に低発現と低感染効率であった。レポーター遺伝子を逆向きに配する構築を持ちインサート長が4-kbに達するためと考えられる。最終的にin vivoでの解析に移行した場合の効率の低さが懸念されたため、最適化した方が成功の可能性が高くなると考えその検討を行うため、当初の予定よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

ウィルスベクターの構築のプロモータの変更、ウィルスの濃縮法の検討を更に行うとともに、構造的な制約となる準向き及び逆向きの二重レポーター構造を変更し、順向きのレポーターのみを用いて感染細胞を選別、cre作用後に逆位になった時は準向きレポーターの消失を指標にする方式への変更も検討予定である。この場合、cre作用後のウィルスベクター感染細胞と未感染細胞の区別が出来なくなる事が問題であるが、Ly5抗原の異なるアロタイプのコンジェニックマウスをホストとし、ドナーのウィルス感染細胞をセルソーターで高度に濃縮してから移入する事で、アロタイプマーカーと蛍光レポーターの消失という指標を使い、cre作用後の細胞をin vivoで区別できると考える。既にLy5アロタイプの異なるC57BL/6マウスを導入して居り、当初の目的に沿って計画を進める予定である。また、in vivo解析に用いるcreマウスの方もAidca遺伝子の制御領域を一部の み変異させ、リンパ球でもその発現の場所とタイミングを変更させるcreマウスを作成中である。

次年度の研究費の使用計画

本年度に最終的な解析に用いる標的遺伝子のgene chipによる解析結果を得られる目処が立った為、当初単なるモデル実験として考えていたRNAi用構築をより意味のあるものに変更するためその構築に用いる試薬を次年度に使用する事とした。具体的にはオリゴ核酸の合成において20万円、ウィルス調整やex vivoでの感染に用いる培養用試薬・血清・消耗品等に20万円、当初から予定した予算はそのまま使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Identification of a Rho family specific guanine nucleotide exchange factor, FLJ00018, as a novel actin-binding protein.2012

    • 著者名/発表者名
      Sato, K Handa, H Kimura, M Okano, Y Nagaoka, H Nagase, T Sugiyama, T Kitade, Y Ueda, H
    • 雑誌名

      Cell Signal

      巻: 25 ページ: 41-49

    • DOI

      10.1016/j.cellsig.2012.09.015

    • 査読あり
  • [学会発表] n vivo analysis of Aicda gene regulation: critical balance between upstream enhancer and intronic repressor for the appropriate expression2013

    • 著者名/発表者名
      L. Huong, M. Kobayashi, M. Nakata, G. Shioi, H. Miyachi, T. Honjo, H. Nagaoka
    • 学会等名
      15th International Congress of Immunology
    • 発表場所
      Milan, Italy
    • 年月日
      20130822-20130827
  • [学会発表] Activation-induced cytidine deaminase expression in CD4+ T cells is associated with a unique IL-10-producing subset that increases with age2012

    • 著者名/発表者名
      Hongyan Qin, Keiichiro Suzuki, Mikiyo Nakata, Shunsuke Chikuma, Nakako Izumi, Le Thi Huong, Mikako Maruya, Sidonia Fagarasan, Meinrad Busslinger, Tasuku Honjo and Hitoshi Nagaoka
    • 学会等名
      Genetic and Epigenetic Control of Cell Fate
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      20121106-20121107

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公開日: 2014-07-24  

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