研究概要 |
本研究の目的は、SILAC (Stable Isotope Labeling using Amino acids in Cell culture)法をニワトリDT40細胞株の為に最適化することにある。 1. 2012年度には、ユビキチン化酵素(RAD18とRNF8)の、ユビキチン化依存的機能と非依存的機能を区別するために、前者の機能のみ破壊したノックインミュータント(RAD18C29F/-とRNF8C398F/- 細胞)をDT40細胞から創った。そして、これらのミュータントはRAD18-/-とRNF8-/- 細胞よりも表現型が軽いことが解った。すなわち、これらの酵素はユビキチン化非依存的機能もあることが証明できた。 2. 我々は、RNF4-/- DT40細胞を創り、その細胞では相同組換えの正確さが低下するという知見を得た。2012年度には、RNF4ユビキチン化酵素の基質を同定する目的で、X放射線照射10分後のユビキトームをRNF4-/-とRNF4+/-DT40細胞とでSILACを使って比較した。その結果、RNF4+/-DT40細胞の方が有意に高くユビキチン化されたタンパクとして、Histone H3、SUMO2, Histone H1.11Lが同定された。本研究は2012年4月に首都大学に栄転した廣田教授が実施した。 3. DT40細胞のトランスクリプトームを工樂博士(神戸・理化学研究所)と共同して2012年度に解析した(基盤(S)の経費使用)。このデータベースによって、ニワトリの系統間にあるゲノム配列の多型性を気にすることなく、質量分析のデータからタンパク分子を同定する作業ができるようになった。 最先端の質量分析機器をもつ廣田教授と共同して、様々なユビキチン化酵素遺伝子破壊株のユビキトームを近い将来に系統的に解析する。
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