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2011 年度 実施状況報告書

血中インスリンは可溶性インスリン受容体と結合し一部不活化されている?

研究課題

研究課題/領域番号 23659156
研究機関徳島大学

研究代表者

蛯名 洋介  徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (00112227)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードインスリン / 可溶性インスリン受容体 / 糖尿病
研究概要

申請者らのグループは、"糖尿病になるとインスリン受容体細胞外ドメイン(soluble  Insulin Receptor: sIR〈可溶性インスリン受容体〉)が切断され, 血中に遊離される"という予想外の発見をした(Diabetes, 2007)。これはインスリン結合部位であるαサブユニットを含み、インスリンと結合してインスリンを不活化していると考えられ糖尿病の病態における意義は大きい。本研究は血中インスリンがsIRと結合し不活化されている事を明らかにし、かつ不活化インスリン量を正確に求めるELISA測定系を確立し糖尿病病態との関連性を明らかにすることを目的としている。 sIRに結合しているインスリンは極めて微量であると予測される(血清100mlに2ng/mlのsIRが存在するとしてこれに結合している全インスリン量は0.075mIU)。このため従来使用されているインスリン測定系では正確な定量はできない。申請者は免疫複合体転移測定法 (ICT-EIA; Immunno-complex transfer-enzyme immuno assay)による超高感度インスリン測定法を開発した(未発表)。この系では、非特異的シグナルが最小化しバックグラウンドを格段に低下させられることから、従来のELISA法の数百倍から千倍の感度でインスリンの定量が可能となる。 インスリン結合部位であるαサブユニットに対する抗体3種を用いて実験を行ったが、いずれもインスリンとの結合に影響を与えることが明らかとなった。そこでβサブユニットの細胞外ドメインに対する抗体18-44を使用した、ヒト血清そのものに18-44を加えても、sIRは免沈できないが希釈すると免沈できることが分かった。しかし、これもインスリンとの結合を30%近く低下させることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

超高感度インスリン測定系は完成させることができた。そこでsIR-インスリン結合物をこの両者の結合に影響を与えない抗体を得ることができれば、sIRと結合しているインスリンを測定することは可能となる。現在βサブユニット細胞外ドメインを大量に取り、モノクロナール抗体をとるべく研究を進めている。

今後の研究の推進方策

βサブユニットの細胞外ドメインに対するモノクロナール抗体を新たに作製する。 血中におけるsIRの半減期は約6時間であるので、sIRのβサブユニットは一部分解されている可能性もある。そこで完全なsIRの測定系はあるので、βサブユニットの無いsIRを測定するELISA系を新たに構築する。 これはαサブユニットに対する抗体5D9とβサブユニットに対する18-44抗体を用いる予定である。

次年度の研究費の使用計画

インスリン受容体に対する抗体類の購入、また、インスリンの結合を妨げずかつ血清中のインスリン受容体を効率良く免疫沈降できる新たなインスリン受容体βサブユニットに対するモノクローナル抗体の作製など抗体関連費用。蛋白吸着阻害プラスチックチューブなどの消耗品の購入費用。標準インスリンなどの試薬類の購入。超高感度ELISA測定系のための特注プレートの購入など。繰越額8,626円については支払いの都合上3月に支出計上されていないものの、3月中に納品を受け当該研究に使用した。

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公開日: 2013-07-10  

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