研究課題/領域番号 |
23659157
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横溝 岳彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60302840)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | GPCR / 免疫沈降 / 結合タンパク質 |
研究概要 |
高親和性抗FLAG単クローン抗体2H8とナノ磁性微粒子を用いた高効率免疫沈降法をほぼ確立した。確立に当たって検討した事項・改善点は以下の通りである。1)FLAG付加受容体発現細胞をあらかじめ2H8抗体と反応させた後、細胞を洗浄することで余剰の抗体を除くことでバックグラウンドを減少させた。抗体濃度についても検討を行い、100 ng/mlの抗体が至適であることを確認した。2)洗浄に用いるバッファーの塩濃度を検討し、150 mMのNaClが至適であることを確認した。3)洗浄に用いる界面活性化剤の種類と濃度の至適化を行った。以上の条件を元に、ヒトロイコトリエンB4第一受容体(BLT1)、スフィンゴシン1リン酸受容体(S1P1)を安定発現するHEK293細胞、L1/2細胞から受容体を免疫沈降した。免疫沈降後、SDS-PAGEで分離し、銀染色でタンパク質を染色した。両方の受容体の特異的なバンドが免疫沈降されることを確認した。受容体以外に観察されたタンパク質をゲルから回収し、トリプシン処理後、質量分析計にて分析した結果、BLT1, S1P1に結合すると考えられる複数のタンパク質を同定した。しかしながら、受容体特異的結合タンパク質では無いと考えられるケラチンタンパク質も同定されため、実験環境の清浄度を上げて再度確認を行う必要がある。確認後、同定したタンパク質を過剰発現させるための発現ベクターを構築し、受容体と共発現させ、共沈降を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想した以上に非特異的結合タンパク質の混入が多く、実験環境の清浄度に問題があると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
実験に使用するバッファーを用時調整し、ドラフト内で実験を行うことで、非特異的なタンパク質の混入を避ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の改善を行い、GPCRに結合する新規タンパク質の同定を目指す。具体的には、ロイコトリエンB4第一受容体BLT1、スフィンゴシン1リン酸受容体S1P1をモデルGPCRとし、それぞれにFLAGタグを付加して安定発現細胞を樹立済みである。この細胞をそれぞれの受容体のリガンドで刺激し、刺激前、刺激後の受容体を当研究室で樹立した高親和性FLAG抗体2H8と、二次抗体で標識した磁性粒子を用いて免疫沈降する。その際に共沈してくるタンパク質を銀染色で同定し、質量分析計で分子同定する。同定した結合タンパク質については、過剰発現、あるいはsiRNAによるノックダウン実験を行い、受容体のシグナル伝達、インターナリゼーションに与える影響を観察する。
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