研究課題/領域番号 |
23659164
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
伊藤 貴彦 久留米大学, 医学部, 講師 (20309842)
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研究分担者 |
三島 康典 久留米大学, 医学部, 講師 (30258470)
伊藤 明日香 久留米大学, 医学部, 助教 (20412538)
亀山 直光 久留米大学, 医学部, 助教 (80529511)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 再生医療 |
研究概要 |
本研究は細胞の遊走能を最大限に発揮させ、且つ自己組織からの細胞の遊走を促すことで組織を再生することを目的としている。今年度は細胞の遊走能を最大限に高める為の走化因子の組み合わせと、培養温度の決定を行ってきた。組織再生を行う場合は、炎症性のサイトカインが大量にある状態では遊走能は阻害されるが、ある少量の状態では促進することが判っている。組織がダメージを受けて瘢痕化した状態では組織の再生は大きく期待できないため、どの時期に再生治療を開始するかというのは重要な問題となってくる為、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの適当なバランスを発見することは極めて意義があることとなる。基本的な走化因子はPDGF、VEGF、及び血清とし炎症性サイトカインとしてIL-6,8、TNF-αを抗炎症性サイトカインとしてIL-10、TGF-βを用いた。ラット脳梗塞モデルにおいて血中のサイトカインを時系列で測定し、時期に応じたそれぞれのサイトカインの割合に応じて遊走能試験を行った。また、急性期にはサイトカインのみならずアナンダマイドなどの内因性のカンナビノイドも放出され細胞遊走能へ影響を及ぼすことから、これらの遊走能へ及ぼす影響についても実験を行った。加えて、脳低体温療法時の組織再生も考慮し培養温度が遊走能へ与える影響についても実験を継続して行っている。同時に低体温時の遊走能の活性化を目論み、擬似的高体温環境を作り出し低体温時の遊走能の活性化も試みている。標的となるのはTRPV1で酸、カプサイシンなどで刺激することで細胞は擬似的高体温状態となる為、高体温時と擬似的高体温時のサイトカインの量の比較も行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は数種類の走化因子を用いるためそれらの組み合わせだけでも莫大な数となるが、さらに各々の濃度を変えて遊走能をみるためその作業に多くの時間が費やされてきた。現在大まかな方針は打ち出されてきたが、目を見張るほどの効果を上げる走化因子の組み合わせは見出せていないのが現状である。当初の予定であった、走化因子を組み込む為のmicrosphereの作成はどの走化因子をくみこむかを決定しないと、作製できない。加えてmicrosphereの作成に必要な凍結乾燥機が故障がちなことも研究が遅れている原因でもある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は追加的なサイトカイン量の測定を行い、最終的な走化因子濃度の決定を行う。また、遊走ののみならず細胞増殖能も検討する必要がある。自己健常組織から遊走してきた細胞は最終的にはscaffold内で健常に増殖する必要があるため、MTT asssay、Live dead assay などを用いて細胞の増殖率を評価しなければならない。加えてscaffoldの作製に向け、materialの細胞毒性、組織親和性などの基礎実験を行って行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はmicrosphereの作成とPLCを用いたscaffoldの作成を行う。特にscaffoldは組織親和性と密度が重要となってくる為、幾種類もの条件を変えた試作を行う必要がある。microsphereは凡そ作成技術は確立されているので、数々の走化因子を組み込んで放出試験を行う。次年度研究費は主にmicrosphereとscaffoldの作成(material、サイトカイン)へ使用見込みである。
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