研究課題
A4GALTにより合成されるグロボ系糖脂質の中、Gb4がリポ多糖(LPS)受容体であるTLR4-MD-2複合体に特異的に結合して、LPSのTLR4-MD-2複合体への結合を阻害することを示した。MD2-FLAG-Hisx6-tagの発現ベクターを血管内皮細胞に導入後、抗His-tag抗体による免疫沈降物の質量分析(MS)の結果、Gb4のみが有意に沈降し、Gb3やLacCerは沈降しないことが示された。そこで、脂質構造に焦点化してMS解析を行い、スフィンゴシンと飽和型脂肪酸(C-16、C-24)から成るセラミド含有糖脂質のみが検出された。そこで、血管内皮細胞をLPSで刺激した時の、TLR-4-MD-2及びGb4の細胞内局在を免疫細胞染色により検討したところ、10-15分をピークにGb4とMD2の膜近辺での共局在が観察された。さらに、同様のLPS刺激化の血管内皮細胞のTriton-100抽出液をシュクロース比重超遠心法により分画して、TLR-4の細胞内局在を検討し、刺激前には非ラフト画分に局在したTLR-4が、15分後には一部がラフト画分に移動することが分かった。よって、LPSがラフトの外側で受容体に結合した後、脂質ラフトに移行する過程でLPSがGb4に置換されることが示唆された。その仮説は、Gb4とTLR4-MD-2の親和性がLPSのそれに比して低い点で難点があるが、糖脂質のクラスター効果が存在することが示唆される。Gb4の作用機構の詳細を明らかにするために、抗Gb4抗体を用いたEMARS法によってGb4結合分子の同定を企図した。しかし、これまで用いてきた抗体はヒトIgM抗体であり、使用法に難点があったので、B3GnT-5遺伝子欠損マウスを卵巣癌抽出液で免疫して、IgG型抗Gb4抗体モノクローナル抗体の樹立に成功した。
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