自己を免疫学的な攻撃対象とする自己免疫疾患は、いずれも根治が難しい難病であるが、疾患の原因となる自己抗原が明確ではない場合が多い。一方、多くの自己免疫疾患では、上皮細胞シートで囲まれた内部組織が炎症の主要な場である場合が多い。本申請では、クローディンをはじめとするタイトジャンクション構成蛋白質が自己免疫疾患の標的であると想定し、クローディンノックアウトマウスと免疫不全マウスを用いて、クローディンに対する自己免疫疾患モデルマウスを作製し、タイトジャンクション構成蛋白質と自己免疫疾患との関連性について検討することを主な目的とした。方法として、1;ノックアウトマウスにノックアウトされた遺伝子産物蛋白質をインジェクションする。2;数回のブーストを経たのちに、脾臓を摘出し、ホモジナイズする。RAG2/JAK3ダブルノックアウトマウスの尾静脈からインジェクションする。特定のタイトジャンクション関連蛋白質に対する自己免疫疾患モデルマウスが作出できる。3;マウス解析(組織病理学的解析、血液生化学的解析、など)を継時的に行う、を計画した。 自己免疫疾患の標的としてのクローディンとして、クローディン18胃型を考え、リンパ球の移植を行う免疫不全ノックアウトマウスを試行した。十分な結果が得られなかった。しかしながら、本申請内容の検討は、SLEなどの上皮細胞組織を標的とする自己免疫疾患の理解の向上のために必要と思われ、他のノックアウトマウスも含め、今後も継続させたい。
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