研究課題
習慣流産は多因子疾患であるが、胎盤における過凝固も要因のひとつである。私たちは以前の研究で、胎盤性抗凝固因子であるアネキシンA5遺伝子のプロモーター領域にある遺伝子多型が習慣流産と関連し、女性が少数アリルを持つと流産のリスクが増加することを示した。このプロモーター領域の多型の位置にはグアニン4重鎖形成のコンセンサス配列がある。近年、プロモーター領域のグアニン4重鎖構造の転写調節作用が注目されている。本研究では、プロモーター領域の多型がこのコンセンサスを変化させ、グアニン4重鎖の形成しやすさに影響し、その結果、少数アリルからのアネキシンA5の発現量が低下することが胎盤における過凝固をひきおこし、流産のリスクが増加するという仮説を証明する。昨年度は、胎盤でのアネキシンA5の発現量をqRT-PCRにて検討したところ、少数アリルからの発現量がすくないことを、胎盤でのqRT-PCRで示し、ルシフェラーゼシステムを用いて、少数アリルのプロモーター活性が低いことを示した。また、円旋光二色性(CD)によりグアニン4重鎖形成能を検討したところ、多数アリルは生理的条件でグアニン4重鎖を形成し、少数アリルは多数アリルよりもグアニン4重鎖形成能が低下していた。本年度は、ルシフェラーゼシステムで、グアニン4重鎖形成を阻害するような変異を導入すると、少数アリルと同程度にルシフェラーゼ活性が低下した。グアニン4重鎖結合剤TMPyP4を加えるとルシフェラーゼ活性が低下し、絨毛細胞株でアネキシンA5の発現量が低下した。以上より、少数アリルはグアニン4重鎖形成能が低下することでプロモーター活性が低下し、アネキシンA5の発現量が低下し、胎盤内で過凝固になり、その結果、流産を起こしやすい状態になっていることが示唆された。
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