研究課題
乳癌病理組織(10%ホルマリン固定/パラフィン包埋組織;26症例;57.42±2.59歳;エストロゲン受容体陽性)を用い、microRNA (miRNA) 解析を行った。各組織からlaser capture microdissectionを行い、癌細胞のみからRNAを抽出し、Cancer miRNA PCR Arrayを用いてniRNA発現プロファイルを作成した。今回は、RNA結合タンパク質であり、miRNA発現の調節に関与するLIN28に注目し、LIN28の発現とmiRNA の関連について検討した。免疫組織化学にてLIN28(陽性16例)の発現を評価し、miRNA発現プロファイルの関係については階層的クラスター解析を行った。結果、LIN28高発現群では低発現群と比較して、let-7a、let-7g、let-7fの発現が低いことが確認された。同様にLIN28サブタイプB(LIN28B;陽性16例)について検討を行ったが、LIN28と同様の結果は得られなかった。LIN28は選択的にlet-7 family の発現を抑制することが報告されているが、そのタンパク発現との相関を病理組織標本で示した報告は本検討が初めてである。今回の結果はまた、免疫組織化学の結果とmiRNA発現プロファイルの相関についての解析法として、本研究手技が妥当であることを示している。今後さらに、診断ツールの開発を目的に、エストロゲン受容体や癌増殖マーカーとの関連について検討を進めていく。
2: おおむね順調に進展している
乳癌組織を用いてlaser capture microdissectionを行い、microRNAの発現プロファイルをえることができた。当初の予定を超えていくつかの研究成果を収めることができたが、さらに乳癌症例のバリエーションを増やす必要があるため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
今年度に確立することができたlaser capture microdissectionを生かした手法を用いて、さらに症例数を増やしたマイクロアレイ解析を行う。得られたmiRNA発現プロファイルについては、治療標的因子(エストロゲン受容体、HER2など)、癌増殖マーカー(Ki-67)の発現等の因子と関連するmiRNAの抽出を行う。治療薬の術前投与症例を用いて、その効果と関連するmiRNAの探索を行う。
計画通り、主にmiRNAの発現プロファイルの作成に関わる消耗品に使用する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
J Pathol.
巻: Jul;227(3) ページ: 357-366
10.1002/path.4019.
J Steroid Biochem Mol Biol.
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