研究課題
昨年度作成した、乳癌組織(10%ホルマリン固定/パラフィン包埋組織:26症例)のmicroRNA (miRNA) 発現プロファイルを用い、癌増殖とHER2発現に関連するmiRNAを検索した。癌増殖については細胞周期関連核タンパクであるKi-67(G0期でのみ発現しない)の免疫組織化学を行い、癌細胞での発現率(%)を算出した。得られたKi-67の結果についてはLow(14%以下の発現)、Moderate(15%から24%の発現)、High(25%以上の発現)の3群に分類し、miRNAの発現について階層的クラスター解析を行った。結果、腫瘍抑制に働くと考えられているlet-7 familyについては、Lowグループでの発現が低かった。また、ModerateおよびHighグループでは、6つのmiRNAの発現高値が認められ、6つのうち特にmiR-96aは癌増殖との関係が示唆されている。同様にHER2の免疫組織化学を行い、miRNA発現プロファイルとの関連を解析した。HER2発現の評価はハーセプテストに従って、0、1+、2+、3+の4段階に分け、Negative(0、1+)とPositive(3+)、さらにintermediate(2+)の3群に分類した。Negativeグループでは5つのmiRNAの発現が高く、Positiveグループでは5つのmiRNAの発現が低かった。一般にHER2タンパクの過剰発現は遺伝子の増幅によるものであると理解されているが、本研究成果から、これらのHER2関連miRNAによる発現抑制機構の存在が示唆される。以上、これらのバイオマーカー関連miRNA群の発現を網羅的に解析することによって、診断ツールの開発につなげることができると考えられる。
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