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2012 年度 実績報告書

ビタミンA欠乏-粘膜星細胞機能障害を介した大腸炎発症と増悪:モデル実験による証明

研究課題

研究課題/領域番号 23659190
研究機関北里大学

研究代表者

岡安 勲  北里大学, 医学部, 名誉教授 (20014342)

キーワードビタミンA / 大腸炎 / 粘膜上皮下筋線維芽細胞 / 伊東細胞 / DSS大腸炎 / 潰瘍性大腸炎
研究概要

発展途上国における栄養不足に伴うビタミン A (VA) 欠乏-慢性下痢-大腸炎による小児死亡例が圧倒的に多いことが疫学的に指摘されているが、その発症機序は明らかにされていない。我々は大腸粘膜陰窩の上皮下筋線維芽細胞が肝臓のVA貯蔵性の伊東細胞と相同の細胞であることを明らかにしてきた。そこでVA 欠乏による上皮下筋線維芽細胞の機能不全が慢性下痢・大腸炎を惹起していると想定して、以下の実験を行った。
VA欠乏食或いはVA補充食で持続飼育して、VA(-), VA(+)マウス2群を作成した。このマウスに1% Dextran Sulfate Sodium (DSS) 溶液の経口飲用によって、潰瘍性大腸炎のモデルである DSS大腸炎を誘導して、2群間における大腸炎発症の違いを検索した。
その結果、VA(-)群では、VA(+) 群に比較して大腸炎が有意に増悪していた。また、VA脂肪滴を持った大腸粘膜上皮下筋線維芽細胞がVA(-)群で有意に減少していた。大腸粘膜陰窩あたりの上皮下筋線維芽細胞の数が VA(-)群で有意に減少していた。さらにAzoxymethane の前投与後に1%DSS経口飲用によって、VA(-)群では多数の大腸異形成病変・癌の発生をみたが、VA(+)群では異形成病変の発生をわずかにみとめるのみであった。cDNA microarray 解析では両群の比較において、発現に差のある遺伝子を認め、其のうち複数の遺伝子はDSS大腸炎増悪と関連性がある可能性をみとめた。
以上より、ビタミンA欠乏ではDSS大腸炎が増悪し、その理由として大腸粘膜陰窩の上皮下筋線維芽細胞の機能障害が示唆される。従って、発展途上国での小児に発症する慢性下痢にはビタミンA補充療法が有効である可能性があげられる。

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公開日: 2014-07-24   更新日: 2015-05-28  

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