研究概要 |
12番染色体と16番染色体の相互転座によるTLS-CHOP遺伝子が原因とされる粘液型/円形細胞型脂肪肉腫は、中高年で発生する軟部肉腫の中でも発生頻度が高い。本研究課題においては、粘液型/円形細胞型脂肪肉腫細胞をYamanaka factorによって染色体をリプログラミング(初期化)し、脂肪細胞に分化誘導を行うことで腫瘍増殖を抑制する、革新的な分化誘導治療の開発を目指す。今年度は、以下の検討を行った。(1)粘液型脂肪肉腫培養細胞へのYamanaka factorの導入:t(12;16)(TLS-CHOPキメラ遺伝子陽性)の粘液型/円形細胞型脂肪肉腫の培養細胞株にOct4,Sox2, Klf4, c-Mycを導入し、細胞増殖への影響を確認した。4つの因子を導入した細胞には、増殖能において現在のところ変化はない。(2)リプログラミング化した肪肉腫細胞の脂肪分化誘導:リプログラミングした、粘液型/円形細胞型脂肪肉腫細胞株を、PPARγアゴニスト、インシュリンなどの脂肪分化誘導剤を用いて、分化誘導を現在行っている。(3)RAGマウス移植モデルでの検討:すでに申請者は、3種類のt(12;16)(TLS-CHOPキメラ遺伝子陽性)の粘液型/円形細胞型脂肪肉腫の培養細胞株をRAGマウスに移植する事に成功している。今年度は、3種類のt(12;16)(TLS-CHOPキメラ遺伝子陽性)の粘液型/円形細胞型脂肪肉腫の培養細胞株にルシフェラーゼレポーター遺伝子を導入した。
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