研究課題/領域番号 |
23659193
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
田久保 海誉 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (00154956)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 移植肝 / キメリズム / テロメア / FISH / 抗老化 |
研究概要 |
小児生体肝移植では、移植後同時期に得られたドナー肝とレシピエント体内のグラフト肝のテロメア長は、例外的にグラフト肝が長いことがあった。レシピエント骨髄幹細胞由来の肝細胞の存在が示唆された。現在までの研究結果により、グラフト肝組織内のキメリズムを証明し、骨髄幹細胞由来の肝細胞とドナー由来の肝細胞のテロメア長を定量的FISH(Q-FISH)法により比較解析することを着想しました。もし、多量にレシピエント由来の肝細胞が見出され、テロメア長がドナー由来の肝細胞よりも長い場合には、キメリズムの誘発(骨髄幹細胞の肝細胞化)により、移植肝の小型化や肝の抗老化や慢性肝疾患の治療につながる。3年間にグラフト肝のY染色体の有無(肝細胞内にあることを証明する)による2群の細胞比と、細胞種類(XX染色体を有するドナー由来肝細胞とレシピエントのY染色体を有する肝細胞)別テロメア長の差異を明らかにし、英文論文として投稿し、採択をはかる。FISH法によりY染色体を有する細胞数を求め、小児患者(CBA患者)ではレシピエント由来の肝細胞が成人例よりも、はるかに多いと予想する。また、Q-FISH法を駆使して、ドナーとレシピエント由来の肝細胞のテロメア長を測定して、骨髄幹細胞由来の肝細胞のテロメアの長いことを知る。以上の結果により、グラフト肝のキメリズム(chimerism)の有無と実体を明らかにします。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画が倫理委員会を通過した。これまでに該当する症例の収集が進み、パラフィン包埋によりFISH用ブロックの作製を行い、組織Q-FISHによる予備実験とX、Y染色体特異プローブによる予備実験を行い良好な結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に引き続きY染色体FISHを行い、組織FISHでは強テロメア光度の細胞を見いだし幹細胞の存在も含めて、X、Y染色体数の比率を求めキメリズムの存在を明らかにして行く。そのために具体的には下記の方法を実施する。1.生検組織の収集2.FISHならびに蛍光抗体法の実施 Yプローブを用いたFISH、サイトケラチン蛍光抗体法3.Q-FISH法、 4.蛍光写真撮影、 5.Tissue Teloを用いたテロメア長解析
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次年度の研究費の使用計画 |
蛍光フィルター、PNAプローブ等の高額な消耗品の購入が主な支出になる。特に光度(光量)をテロメア長に換算するため、安定した光度測定が必要となりフィルターを頻回に交換する。スライドガラスもコート処理をしたものを使用するため一般のガラスよりかなり、高額となる。また、切片の薄切は一定の厚さ(2μ)の切片を得るために、十分に熟練した技師(西村幸子)を雇用する必要がある。さらに、学会発表(日本病理学会、日本外科学会、日本移植学会、日本肝臓学会など)のための旅費と、英文論文の英文校正を計上する。
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