研究課題/領域番号 |
23659193
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
田久保 海誉 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (00154956)
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キーワード | 肝移植 / キメラ / テロメア |
研究概要 |
平成23年度と同様に作業を行った。1.生検組織サンプルの収集を行い、臨床病理学的事項をデータベース化した。以上により症例、組織収集は終了した。移植時とりだされた胆道閉鎖症肝に関しては、Q-FISH法により肝細胞のみのテロメア長を測定を終わり論文として発刊し、テロメア測定の典型的手法であるサザンブロット法では肝細胞以外のDNAの混入により正確な測定ができないことを証明した(以上のデータはコントロールとなる)。肝移植後のグラフトの生検組織を得られ症例の性別の内訳は、母から女児 (n=43), 母から男児(n=33)、父から女児(n=18)、父から男児(n=20)であった。データベース化する過程で、臨床病理学的解析を行った。結果は性別のミスマッチは明らかに移植における拒絶反応が多い。父から女児への移植は急性細胞性拒絶の頻度の高いことを見出しドナーとレシピエントの性に関する英文論文を作成して投稿した。また、母から男児や女児では拒絶反応の頻度が比較的低いことから、男児および女児の妊娠に伴うキメラによる免疫応答に関する寛容が成立している可能性を考察した(投稿後査読中)。 2.FISHならびに蛍光抗体法の実施。Y染色体プローブ(蛍光色素付加DNAプローブ)FISHを行い、さらに同一切片上でサイトケラチン蛍光抗体法を行い成功した。母から男児に移植の場合、グラフト組織の内皮細胞は、ほぼY プローブが陽性であった。内皮細胞は男児由来の細胞に置換されていることがわかった。サイトケラチン陽性細胞(肝細胞)内にY染色体プローブを見ることは非常にまれであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生検組織サンプルの収集を行い、臨床病理学的事項をデータベース化初期の段階はクリアできている。移植時とりだされた胆道閉鎖症肝に関しては、Q-FISH法により肝細胞のみのテロメア長を測定を終わり論文として発刊している。この中でテロメア測定の典型的手法であるサザンブロット法では肝細胞以外のDNAの混入により正確な測定ができないことを証明した。肝移植後のグラフトの生検組織を得られ症例の性別の内訳は、母から女児 (n=43), 母から男児(n=33)、父から女児(n=18)、父から男児(n=20)であった。データベース化する過程で、臨床病理学的解析を行った。結果は性別のミスマッチは明らかに移植における拒絶反応が多いことを証明した。父から女児への移植は急性細胞性拒絶の頻度の高いことを見出し英文論文を作成して投稿した。また、母から男児や女児では拒絶反応の頻度が比較的低いことから、男児および女児の妊娠に伴うキメラによる免疫応答に関する寛容が成立している可能性を考察し論文化し投稿中である。実際のテロメア長の測定は開始され、データの集積を待っている。全期間を通じての進捗状況としては概ね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究方法の確認(論文既報)、臨床病理学的データベースの完成は終了し(論文投稿中)実際のテロメア長の測定を強力に進める。母親からのグラフト肝中のY染色体陽性の肝細胞(ケラチンの免疫蛍光法を行う)を見出す。その細胞のテロメアセントロメア蛍光光度比を測定する。以上により、母親からの肝細胞と男児の幹細胞由来の肝細胞のテロメア朝を比較解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使途としてはFISHの実験と、実験後の解析作業(蛍光写真撮影、オリジナルソフトウエアーTissue Teloによる解析)に人件費が必要になる。以上から、研究費に関しは、材料費(2回程度の英文校正費を含む)と人件費を概算として、半分ずつの使用を予定している。
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