研究課題/領域番号 |
23659195
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
笠原 正典 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30241318)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | VLR / 免疫グロブリン / 病理学 |
研究概要 |
免疫グロブリンはアミノ酸一残基の違いをも識別できる卓越した抗原認識分子であり、臨床検査試薬、実験試薬あるいは医薬として広く用いられている。最近、最も原始的な脊椎動物である円口類(ヤツメウナギ、メクラウナギ)において、免疫グロブリンに匹敵する特異性と、それを凌駕する結合親和性、安定性をもった抗原認識分子variable lymphocyte receptor(VLR:可変性リンパ球レセプター)が発見された。VLRはleucine-rich repeatモジュールを組み合わせることによって多様性を生み出す。本計画では、VLRを免疫グロブリンの代替試薬として病理学領域において利用する可能性を探る。従来、VLRにはVLRA、VLRBの2種が存在することが知られていた。最近、米国エモリ―大学のMax Cooperらにより、分泌型の抗体として機能するのはVLRBであり、VLRAはT細胞受容体のように分泌されないことが示された。われわれは、VLRA、VLRBとは異なる新しいVLR遺伝子を同定し、それをVLRCと命名した。VLRCはVLRA,VLRB遺伝子に匹敵する多様性を生み出すが、LRRCT領域の多様性はVLRA、VLRBのそれに較べ軽度である。また、VLRCはVLRBのように抗体として分泌されるのではなく、VLRAのように膜結合型受容体として機能する可能性が高いことが明らかになった。以上より、VLR分子を免疫グロブリンの代替試薬として病理学領域において利用するにあたってはVLRB分子を用いるべきであることが明らかになった。現在、VLRB分子の抗体試薬としての有用性を種々の観点から検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヤツメウナギは捕獲可能な時期が季節的に限定されており、捕獲量も減少しているため、動物の確保という点で問題がある。
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今後の研究の推進方策 |
動物の確保に努力するとともに、免疫原として使用する抗原の種類について再検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定したより少数の動物しか確保できなかったため、動物購入費・維持費に残が生じた。繰り越し額分、次年度の動物購入費・維持費を増額する。24年度に配分される研究費と繰り越し分は全額、消耗品費として使用する。
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