研究課題
本年度は、ノックインタイプと、gene trapタイプのfloxed-EGFP-STOP/DT-Aマウスの作出を開始した。それぞれのターゲティングベクター構築は予定通りに行うことができ、それぞれについてGP2ゲノムを目的の遺伝子配列に置き換えたES細胞を数クローン樹立した。2クローンずつ、C57BL6由来の胚盤胞に移植した。現在までのところ、gene trapタイプのものはgerm-lineにのったキメラマウスを得られていないが、ノックインタイプのものは1クローンで生殖系列移行が確認された。しかしながら、この得られたキメラマウスとC57BL6マウスの掛け合わせによって産まれた200匹以上のF1マウスの中からヘテロマウスを得ることはできなかった。ヘテロマウスが生まれてくる確率は50%であるため、胎生期に何らかの理由でDT-Aがleakyに発現している可能性が考えられた。また、並行して進めていた新規M細胞特異的発現分子の探索により、新たに数種類の候補分子を同定した。この中で、転写因子Spi-BについてはmRNAの発現レベルがGP2のそれに匹敵するほど高く、腸管上皮層におけるM細胞発現特異性をin situ hybridizationによって確認している。現在、M細胞分化やその機能におけるSpi-Bの重要性を解析すると共に、Spi-Bプロモータを利用する、同様のfloxed-EGFP-STOP/DT-Aマウスの作出を試みている。
3: やや遅れている
研究実績の概要で述べたように、おおむね予定通りに研究が進み、生殖系列移行を認めるキメラマウスを得ることができたが、このマウスからヘテロマウスを得ることはできず、ターゲティングベクターの見直しや、さらに多くのESクローンの樹立が必要となっているため。
理論的にはDT-Aのleakyな発現は考えられないが、ネオマイシン耐性遺伝子カセットが原因である可能性がわずかにあるため、その向きを変えたもの、また位置を3'側に移したターゲティングベクターを再構築し、ESクローンの樹立を行う。また、同様の手法で、Spi-Bプロモータを利用する構築、マウスの作出を行う。加えて、作業効率を上げるため、feeder-freeで培養可能であるES細胞株(JM8A1.N3)を用いたクローン作製も行う。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
J. Immunol.
巻: 186 ページ: 4253-4262
10.4049/jimmunol.0903794