研究概要 |
骨髄由来マクロファージ(BMDM)の微細粒子に対するIL-1b産生に、粒子サイズ依存的な経路が存在する事を確かめた。 1)他のサイトカイン(TNF-a、IL-6、IFN-g、IL-12、MCP-1、IL-10)にはラテックスビーズ(LxB)のサイズ依存的な影響は認められなかった。 2)cathepsin B阻害剤が20 nm径LxBのIL-1b産生を阻害することから、当該LxBがcathepsin Bの食胞からの漏出を生じる可能性が考えられた。そこで、BMDMを1,000および20 nm径LxBで刺激したところ、後者でのみ細胞内に活性化cathepsin Bが存在する事を蛍光基質を用いて確認した。さらに、cathepsin BおよびD欠失マウスBMDMでは、20 nm径LxBによるIL-1b産生がcathepsin B欠失BMDMで減少する事を確認した。 3)1,000 nm径LxBによるIL-1b産生はROS阻害剤の影響を受けることから、ROSの産生誘導をDHR-123により検討したところ、1,000nm径LxBに強いROS産生を認めた。ROS産生源としてミトコンドリア(mt)を想定し、刺激後のmtの挙動(体積および膜電位)を蛍光基質を用いて検討したところ、1,000 nm径LxBでは弱いダメージを受けたmtが増加し、20 nm径LxBでは強く傷害されたmtが認められたがその体積は大きく減じていた。よって、1,000 nm LxBの場合は呼吸能をある程度維持した傷害mtがROSの産生源であると予想された。一方で、20 nm径LxBはLC3-GFPマウス由来BMDMにおいて多数のオートファゴゾームを誘導することから、強く傷害を受けたmtはこの機構により除去されると考えられた。 23年度の研究結果と合わせ、BMDMのIL-1b産生に粒子のサイズに依存した経路が存在する事を示した。
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