研究課題
マクロファージの活性化経路は、大きく古典的活性化(M1)とオルタナティブ活性化(M2)に二大別され、活性化の違いが種々の病態に大きな影響を与えている。本研究の目的はクロファージの活性化を制御する天然化合物をスクリーニングし、治療への応用の可能性を検討することである。これまでに、まずマクロファージのM1活性化を抑制する化合物として、天然化合物ライブラリーのスクリーニングによって4種の化合物を同定した。また、海洋生物である海綿から抽出したmanzamine Aがマクロファージの泡沫細胞化を抑制するとともに、ApoEマウスを用いた検討で、in vivoで粥状硬化の形成を抑制する事を明らかにした。一方、マクロファージのM2活性化を抑制する物質として、天然化合物ライブラリーのスクリーニングによってcorosolic acid、onionin Aならびにgarlicnin Aを同定した。バナバ葉やリンゴ果実に含有されるトリテルペノイド化合物であるcorosolic acidについては、マウス骨肉腫のマウス移植腫瘍の検索から、皮下移植腫瘍が有意に縮小するとともに肺転移が抑制されることを報告した。そのメカニズムとして、STAT3の活性化の抑制を介して、M2マクロファージやmyeloid-derived suppressor cellsの活性化が抑制されることが要因と考えられた。また、タマネギからの抽出物であるonionin Aについては、ヒト卵巣癌細胞株を用いた検討から、STAT3の活性化を抑制することで腫瘍増殖を抑制し、その効果は抗がん剤との併用で増強されることが分かった。さらに、担癌マウスでの検討から、corosolic acidと同様に、STAT3活性化の抑制を介してM2マクロファージの活性化が抑制され、移植腫瘍の縮小や肺転移の抑制が観察された。
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