研究課題/領域番号 |
23659213
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
竹居 孝二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40322226)
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研究分担者 |
山田 浩司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80325092)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マラリア / ダイナミン / 阻害剤 / 感染症 |
研究概要 |
マラリアダイナミンの機能を明らかにするためにマラリアダイナミンの発現精製系を確立するとともに、マラリアダイナミンの阻害剤探索のためのGTPアーゼ活性測定系の条件検討を行った。また、ほ乳類のアクチン重合を指標としたダイナミン阻害剤のスクリーニングを行なった。1)マラリアダイナミンの精製:熱帯熱マラリア原虫に発現しているダイナミンホモログであるpfDyn1及びpfDyn2遺伝子を全合成し、pET15bにクローニングした。大腸菌にpfDyn2を発現させ、0.1%NP40存在下に、可溶性画分にpfDyn2を得た。pfDyn2をCoカラムに吸着後、50, 100, 200, 250mMイミダゾールを用いてステップワイズに溶出した。pfDyn2は、200mMイミダゾールで溶出され、CBB染色において、ほぼ単一バンドにまで精製する方法を確立した。2)GTPアーゼ活性の測定:哺乳類のダイナミン GTPase活性は、低イオン強度溶液中での自己重合による活性が上昇することから、低イオン強度条件下で、pfDyn2のGTPase活性を測定する比色定量法を構築した。哺乳類ダイナミン1をコントロールとしてGTPase活性を比較した結果、イオン強度依存性のダイナミンGTPase活性変化がpfDyn2ではほとんど見られないことが判明した。3)哺乳類のアクチン重合を指標としたダイナミン阻害剤のスクリーニング:ピレンでラベルした単量体アクチンを脳細胞質に加え、ATP存在下でリン脂質を含んだ人工脂質膜で刺激するとアクチン重合が誘導され、ピレンに由来する蛍光強度を測定することによりアクチン重合を定量的に測定出来る。この測定系を用いて、哺乳類ダイナミン阻害剤のスクリーニングを約150の候補物質について行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マラリアダイナミンpfDyn1およびpfDyn2はともに遺伝子を全合成し、大腸菌で発現させた。さらにpfDyn1についてはCBB染色において、ほぼ単一バンドにまで精製する方法を確立した。抗マラリアダイナミン抗体については、作成のための準備はすでに終了している。従って、マラリアダイナミンの機能解析のための実験ツールの作成は順調に達成されていると評価出来る。哺乳類のアクチン重合を指標としたダイナミン阻害剤のスクリーニングについても、高いアクチン重合阻害効果を示す候補物質がいくつか得られており、阻害剤探索に関してもほぼ順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
マラリアダイナミンpfDyn1の精製を継続するとともに、pfDyn1の精製方法を応用して、精製pfDyn2の精製を目指す。抗マラリアダイナミン抗体作製については、pfDyn1とpfDynを2それぞれ特異的に認識できる抗体の作成を目指す。リコンビナントタンパクおよび抗体作ができ次第、これらを用いてin vitro実験系および細胞レベルで、マラリアダイナミンの機能解析を行なう。ダイナミンをターゲットとした阻害剤探索については、スクリーニングを継続するとともに、既に見いだしたアクチン重合阻害効果を示す候補物質を用いてマラリア原虫の増殖抑制効果を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究進行の都合上、H23年度に予定していたpfDyn2の精製と抗マラリアダイナミン抗体作製を次年度に行なうことになり、これらのための費用526,825円を次年度に繰り越した。H24年度の研究費は、初年度から継続して行なうマラリアダイナミンpfDyn1の発現精製、アクチン重合を指標する阻害剤スクリーニング、GTPアーゼ活性測定のための消耗品、加えてH24年度より開始するpfDyn2の発現精製、抗マラリアダイナミン抗体作製、マラリア原虫の増殖抑制効果測定のための消耗品に使用する。
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