研究課題/領域番号 |
23659220
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三室 仁美 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (80396887)
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研究分担者 |
丸山 史人 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30423122)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細菌 / 感染症 / ヘリコバクターピロリ |
研究概要 |
本研究では、ヘリコバクターピロリ菌 (Helicobacter pylori, H. pylori) が感染時に宿主応答を撹乱させる未知エフェクター分子を明らかにする目的で、H. pyloriがコードするnon-coding RNA (ncRNA) が、感染宿主細胞内で感染宿主応答を撹乱するncRNAとして作用する可能性を検証することを目指す。2年間の研究期間の中で、以下の解析を企図した。(A) in silico検索によるH. pylori候補RNA配列を選定する。(B) 候補RNA配列の感染細胞内における宿主miRNA 様作用をin vitroで検証する。(C) 候補RNA配列の菌体外分泌機構を解明する。また期間的に可能であれば、(D) モデル動物感染実験を行い、in vivoでの作用を解析する。今年度は、RNA配列解析を着手する準備段階として、ヒトの感染症状に類似した胃炎、胃潰瘍、胃癌を呈するスナネズミ感染株、低病原性のマウス感染株、および、高病原性マウス感染株の、計3株に関して、染色体およびプラスミドの配列解析を行い、全配列情報を得た。現在サンガー法による補足データ確認を行い、遺伝子領域予測およびアノテーション解析を進行している。本ゲノム解析に関しては、新学術領域研究「ゲノム支援」の支援を受けて解析を行った。また、RNA-seq解析用サンプルの調製条件検討を行い、解析用サンプル調製系の確立を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、RNA配列解析を着手する準備段階として、ヒトの感染症状に類似した胃炎、胃潰瘍、胃癌を呈するスナネズミ感染株、低病原性のマウス感染株、および、高病原性マウス感染株の、計3株に関して、染色体およびプラスミドの配列解析を行い、全配列情報を得た。当初の計画では、スナネズミ感染株1株のみを配列解析に供する予定であったが、申請後に、マウスでの高病原性株を入手することができたことから、高病原性と低病原性マウス感染株を解析に加えることが可能となった。これにより、病原性の違いによるRNA配列の違いを解明することができるだけでなく、各種遺伝子改変動物が作出されているマウスでのin vivo実験への発展的展開が容易となることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の研究を推進する予定である。・in silico検索によるH. pylori候補RNAを選定する。・候補RNA配列の感染細胞内での宿主miRNA様活性を検証する。・候補配列の宿主細胞移行経路を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、in vitroでの候補RNA配列活性解析のための各種RNA実験用試薬が必要となる予定であることから、主に当該研究用試薬の購入のために研究費を使用する予定である。
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