研究課題/領域番号 |
23659222
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 気管支敗血症菌 / 百日咳菌 / 遺伝子発現 / マイクロアレイ |
研究概要 |
気管支敗血症菌の、宿主への感染時に発現する遺伝子を網羅的に解析する In vivo expressed tag-immunoprecipitation 法(IVET-IP法)の確立のため、レポーターとなる、菌体表層タンパク質の検討をした。その結果、Myc タグペプチドを融合した BrkA タンパク質のオートトランスポータードメインがレポーターとして適していることがわかった。 さらに Myc-BrkA の遺伝子の上流に既知のプロモーター配列を配置した本菌の組換え体を Bvg+もしくは Bvg-の条件で培養し、 期待鳥にレポーターの発現が誘導されるか、あるいは抑制されるかどうか確かめた。さらに抗 Myc 抗体を用いた免疫沈降やフローサイトメーターによる分画等を検討した結果、抗 Myc 抗体を固定化した磁気ビーズを用いる方法が最も適当であることがわかった。さらに擬似的に動物組織と供試菌を混和して、組織から免疫沈降に供する菌体を効率よく回収する方法を検討した。 また、気管支敗血症菌の遺伝子を網羅的に解析するためのマイクロアレイのデザインを決定(100 bp 以上の距離のある遺伝子間領域、1469箇所についてセンス側とアンチセンス側それぞれ4種のプローブをアレイにコートした) した。マイクロアレイ解析実施のための必要な試料DNA の最小量、最小菌量、およびラットに感染させる際の実際の投与菌量および供試動物個体数を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施計画の通りに研究を実施し、当初の目的は達成された。しかし、さらに著しい進捗を得られるまでには至らなかった。そのためには感染動物モデルを用いた実験を実施しなければならず、本年度はその準備で研究期間が終了した。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、本年度に実施する感染動物モデルの作製のための準備が前年度でほぼ終了しているので、本年度の計画は順調に進むと見込むことができる。本年度の計画では、今後、前年度に決定したデザインで、気管支敗血症菌ゲノム断片を含んだライブラリを作製し、本菌の宿主となりうるラットに経鼻的に感染させる。任意の感染時期において、鼻腔、上部気道、下部気道、肺を取り出し、菌を回収して IVET-IP を実施し、網羅的に同定された遺伝子をリスト化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度中の研究において、マイクロアレイのプローブデザインが当初の予測よりも順調に達成できたので、本来それに充当するべく計上した研究費を次年度に使用することとした。次年度においては、本予算を次年度請求予算と合わせることにより、気管支敗血症菌を感染させるラットモデルの個体数を増やし、これに応じて多くのデータを収集する。このことにより、正確性が高くかつ再現性を確認した、動物個体内での本菌の遺伝子発現リストを作成することができると予想している。
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