研究課題/領域番号 |
23659226
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
西川 可穂子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (20345416)
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研究分担者 |
小野 聡 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 准教授 (30531355)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
齋藤 大蔵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 教授 (90531632)
阪本 敏久 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 教授 (50178571)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Helicobacter pylori / Proteus mirabillis / cell proliferation / MKN45 |
研究概要 |
平成23年度の研究実績は以下のとおりである。1)ピロリ菌と胸像した場合に胃がん細胞の増殖を促す細菌のスクリーニングについて。ピロリ菌は、東京大学大学院医学系研究科畠山教授にNCTC11637株、胃がん関連タンパク質cagA欠損株を譲渡していただいた。urease-positive bacteriaで、胃炎起因菌のひとつであるProteus mirabilis(P. mirabilis)は理研バイオリソースセンターよりJCM 1169株を取り寄せた。胃がん細胞はMKN45を使用し、CO2 5%、37℃条件下で培養したものを5 x 100,000 cells/wellとなるように96 well plateに播種した。ピロリ菌を含む3種の細菌は、アネロパック微好気システムを用いてBurucella brothに10%FBSを加えたものを用いて培養し、試験には生理食塩水でA600 0.01に調整したものを10 マクロL/well接種し、40時間後の胃がん細胞増殖をcell proliferation assay systemで測定した。CagA欠損株では、胃がん細胞増殖を促進しなかった。一方、NCTC11637株は、この試験系で細菌自体が生育することができず死滅してしまい、胃がん細胞増殖に関する検討が十分にできなかった。P.mirabilisでは、この試験系で増殖することが可能であったが、細菌が増殖しすぎてwell内環境が劇的に変化(pHの低下)してしまい、胃がん細胞の生育条件としては不適となり死滅してしまい、胃がん細胞増殖因子となるか否かの検討についての正確なデータは得られなかった。本試験により、cagA欠損株ではピロリ菌であっても胃がん細胞MKN45の細胞増殖を促進することはないが、そのほかの菌の影響についてはさらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の試験は、胃がん細胞の増殖を促進する胃内環境に生育する細菌のスクリーニングとして、ピロリ菌とcagA欠損株、P.mirabilisを胃がん細胞MKN45を用いて検討した。しかしながら、胃がん細胞の最適培養条件と、ピロリ菌および、P.mirabilisの培養最適条件が異なるため、条件を変えていくつか検討したが、最適条件を見出すことができなかったため、進まなかった。本研究において、胃がん細胞増殖を促進する細菌のスクリーニングは重要であるため、今後改善策を検討し、進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は、胃がん細胞の培養条件と、扱う細菌の培養条件が異なるために、目的とする胃が細胞増殖を促す細菌の最適条件が見いだせなかったために、研究計画に遅れが生じた。今後は、これを解消するために、最適化の条件を引き続き試すとともに、胃がん細胞の種類を変えたりすることも考慮にいれる必要があるかもしれない。また、生体内胃内環境を試験管レベルで再現することが難しく、上記検討に打開策が見つけられない場合は、本研究目的の抜本的な改変を必要とするかもしれないが、マウスを使ったin vivoでの研究展開も視野にいれることも必要となるかもしれない。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費の使用計画は以下の通りである。1.胃がん細胞増殖を促す細菌のスクリーニングにおいて、培養細胞の培地とそれに必要な試薬、使い捨てシャーレやピペットなどのウエア。細菌を培養するためのアネロパック微好気パックなどの購入。2.Toll様受容体の発現検討のための抗体購入(TLR4, TLR5, TLR9)とフローサイトメトリーを運用するための試薬や緩衝液の購入。3.単核球に与える影響を検討するために、ELISA kit (Il-12, IFN-γ)の購入4.胃がん細胞培養上清のプロテオミクス解析のための試薬類の購入5.胃がん細胞への細菌の接着をみるためFISH解析依頼の試験費用
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