研究課題/領域番号 |
23659226
|
研究機関 | 防衛医科大学校 |
研究代表者 |
西川 可穂子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (20345416)
|
研究分担者 |
小野 聡 防衛医科大学校, 防衛医学研究センター, 准教授 (30531355)
木下 学 防衛医科大学校, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
齋藤 大蔵 防衛医科大学校, 防衛医学研究センター, 教授 (90531632)
阪本 敏久 防衛医科大学校, 病院, 教授 (50178571)
|
キーワード | Helicobacter pylori / 胃内起因菌 / 胃がん細胞 |
研究概要 |
ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、萎縮性胃炎や胃癌の原因菌とされているが、胃は、胃酸のために強酸性(pH2前後)で、細菌であっても生育するには容易な条件ではない。ピロリ菌は、ウレアーゼ分泌によりウレアを加水分解し、産生したアンモニアで局所的に胃液を中和する事で強酸性条件下を緩和している。しかし、実際のヒトの胃内にはピロリ菌以外にもウレアーゼ産生菌が存在する。これらが胃炎発症に関与しているという報告もあり、またアンモニアは、ピロリ菌の走化性因子でもある。ピロリ菌以外のウレアーゼ産生菌との共存によって、ピロリ菌の胃癌への病原性も憎悪することが予想される。そこで、本研究では、複数細菌との相互関係を考慮した上でピロリ菌の胃癌細胞への影響を検討した。胃癌細胞へ共感染させる細菌として、まずウレアーゼ産生菌で胃炎起因菌の1つであるプロテウス・ミラビリス菌(Proteus mirabillis)を用いた。胃癌細胞は、AGS細胞(6x10^5 cells/plate)を用い、細菌は液体培地で感染前日に前培養を行ったものを使用した。ピロリ菌感染(8x10^6 cells/plate)、プロテウス菌感染(3x10^7 cfu/plate)、2菌による共感染(ピロリ4x10^6 cells/plate,1.5x 10^7 cfu/plate)をさせ(2時間)、感染後のTLR4およびTLR5へのmRNA発現量を定量PCRで測定した。相対定量の結果、感染なしに比較し、ピロリ菌感染、プロテウス菌感染では、TLR4,TLR5 それぞれ、発現量が増加したが、2菌感染で最も発現量が増加した。ピロリ菌は、ピロリ菌以外の胃炎起因菌と共存するとき、宿主にピロリ菌単独よりもvirulence factorが増強する可能性があることが示唆されたが、今後更に検討が必要である。
|