研究概要 |
ヒト肝癌細胞株HuH-7細胞質抽出物のcrude S10分画を調製し、ビオチン化合成HCV RNAと混合し、HCV IRES IIId配列に選択的に結合する蛋白の同定を行った。結合タンパク質群のうちで、同配列によってcompeteされないもの、および相補鎖配列にも結合の認められたものを排除したところ、6種類(40-, 46-, 52, 63-, 66-, 90-kDa)のIIId結合タンパク質が得られた。各タンパク質バンドを切り出しトリプシン消化し質量分析を行ったところ、p54-nrb、PSFおよびhnRNP-Hを同定することができた。Pull-downサンプルについてウエスタンブロット解析を行い各タンパク質を確認した。 さらに、この3種類のHCV RNA結合因子の中で、hnRNP-Hはヌクレオキャプシド形成に働くHCV Coreタンパク質と結合能を有することを見出した。His―tag付加hnRNP-H及びGST付加Coreタンパク質を用いたGST pull-down解析においてHCV RNA UTR配列を添加するとhnRNP-HとCoreとの結合が減弱することがわかった。また、Coreタンパク質の共存下ではHCV RNAが安定化される傾向にあることが示唆された。
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