• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

HIV潜伏感染細胞の活性化を標的としたエイズの病態制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23659233
研究機関鹿児島大学

研究代表者

馬場 昌範  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70181039)

研究分担者 岡本 実佳  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90336347)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードHIV / 潜伏感染 / 遺伝子発現 / 宿主因子 / 活性化
研究概要

今年度の本研究では,HIV 潜伏感染細胞の活性化に関わる重要な宿主細胞由来の因子を同定するとともに,これらの因子を阻害することにより,潜伏感染細胞からのウイルス活性化が抑制されるかどうかを明らかにすることを目的として,HIV 潜伏感染細胞(OM-10.1)とその非感染親細胞株(HL-60)を炎症性サイトカイン(TNF-α)で刺激後,一定時間毎に細胞から RNA を回収し,DNA マイクロアレイ法を用いて,それぞれの細胞における宿主遺伝子発現の違いを網羅的に解析した。その結果,TNF-αの刺激により OM-10.1 細胞においてのみ発現が有意に増加した遺伝子が 314 個,減少した遺伝子が 102 個同定された。発現が増加した遺伝子の主な機能としては,protein binding(27 genes),receptor activity(22 genes),zinc ion binding(19 genes),calcium ion binding(12 genes),DNA binding(11 genes),ATP binding(11 genes),そしてnucleotide binding(10 genes)などであった。これらの遺伝子の中から,発現の増加が著しい遺伝子を選別し,リアルタイム RT-PCR 法を用いて,DNA マイクロアレイによる結果を確認するとともに,その時間的変動についても検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究では,1)HIV 遺伝子発現の制御に関わる宿主細胞因子について,それらを効率良く解析するのに適した実験系を構築する,2)構築された実験系を用いて,宿主細胞における遺伝子発現の網羅的解析を行い,目的とする宿主細胞因子を選別する,3)選び出された宿主細胞因子の発現を阻害することにより,実際に HIV 潜伏感染細胞からのウイルス活性化が抑制されるかどうかを検証する,の3項目の達成を目標にした。1)については HIV 潜伏感染細胞 OM-10.1 と,それに対応する非感染親細胞 HL-60 をそれぞれ選定し,実際にその系が機能することを確認した。2)については,上記に記載の通り,TNF-αの刺激により OM-10.1 細胞においてのみ発現が有意に増加した遺伝子と減少した遺伝子を同定することに成功し,またその中から,発現の増加が著しい遺伝子を選別し,リアルタイム RT-PCR 法を用いて,DNA マイクロアレイによる結果を確認している。3)の遺伝子阻害実験に関しては,現在,一部の遺伝子に対する siRNA/shRNA を合成し,それを transfection することにより,当該遺伝子とその転写産物である宿主細胞因子の発現の抑制と,それに伴うウイルス遺伝子活性化およびウイルス産生の抑制を検討中である。

今後の研究の推進方策

平成24年度の研究の進め方としては,今年度に引き続き,TNF-αの刺激により OM-10.1 細胞においてのみ発現が有意に増加した遺伝子の中で,特に増加が著しい宿主細胞の遺伝子について,それらの抑制を行うことにより,ウイルスの産生が抑制されるかどうか検討を続ける。ウイルス産生の抑制が確認されたら,OM-10.1 細胞以外の HIV 潜伏感染細胞,例えば T リンパ球系の ACH-2 細胞や前単核球系の U1 細胞などを用いて,同様の結果が得られるかどうかを検討する。また,同定された宿主細胞因子が,どのような作用機序で潜伏ウイルスの活性化を抑制しているのかについて検討する。さらに,可能であれば,その因子を標的分子とする低分子阻害薬の探索を行う。このアプローチの1つとして,膨大な薬剤ライブラリーのデータベースとコンピューターを用いた,標的分子と薬剤との docking study(in slico screening)を実施する。さらに余裕があれば,TNF-αの刺激により,OM-10.1 細胞においてのみ発現が有意に減少したした遺伝子についても,詳しい解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

今年度とほぼ同様に,研究費は実験を行うために必要な消耗品の購入に充当する予定である。その主なものとしては,選択した遺伝子の発現を解析するためのリアルタイム RT-PCR 用プライマー/プローブ,発現をタンパク質レベルで解析するための抗体,そして発現を抑制するための siRNA/shRNA の合成に使用する予定である。また,今年度は使用しなかったが,成果発表のための関連学会出席のための旅費としても支出する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] HIV の活性化における宿主細胞因子の異なった発現2011

    • 著者名/発表者名
      オルドネス・スアレス パウラ,濱崎隆之,馬場昌範,岡本実佳
    • 学会等名
      第24回国際抗ウイルス会議
    • 発表場所
      ソフィア(ブルガリア)
    • 年月日
      2011年5月9日
  • [学会発表] 薬剤耐性ウイルスと抗ウイルス薬の開発戦略2011

    • 著者名/発表者名
      馬場昌範
    • 学会等名
      第21回感染研シンポジウム「病原体と薬剤耐性」(招待講演)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011年5月20日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi