研究概要 |
本研究では、CD8α陽性樹状細胞(CD8α+DC)のin vivoにおける機能的意義を明らかにした。まず、CD8α+DCに高発現するケモカイン受容体XCR1の遺伝子座に、蛍光タンパクvenus、あるいは蛍光タンパクとジフテリアトキシン受容体(DTR)との融合タンパクをノックインすることにより、XCR1-venus, XCR1-DTRvenusマウスを作成した。これらのマウスの脾臓において、venusタンパクの発現は、CD8α+DCの約80%に認められたが、他の細胞にはほとんど認められなかった。リンパ節や皮膚、腸管などの末梢組織においては、venusの発現は、CD8α+DCと同系統に属するCD103+CD11b-DCにほぼ選択的に認められた。また、XCR1-DTRvenusマウスにおいては、DTの投与後1-4日間に、CD8α+DCの欠失が一過性に誘導された。このXCR1-DTRvenusマウスを用いて、タンパク、死細胞、細菌に対するCD8T細胞応答(クロスプレゼンテーション)にXCR1を発現する樹状細胞(XCR1+DC)すなわちCD8α+DCが必須であることが明らかとなった。 CD8α+DCを欠失させる遺伝子欠損マウスとして、CD8α+DC優位に発現するCD205やClec9Aの遺伝子座へのDTR遺伝子ノックインマウスが樹立されているが、これらのマウスでは、蛍光タンパクが検出できず、また、XCR1-DTRvenusマウスに比較して、欠失細胞の選択性も高くない。本研究で樹立されたシステムは、CD8α+DCを追跡し、欠失させるのに最適のユニークな実験系である。
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