研究課題
本研究は、アレルギーや非感染性慢性炎症反応に関与する細胞や分子・遺伝子の時空間的な制御を明らかにすること、免疫応答や炎症反応を調節し得る植物由来天然化合物を探索し創薬シーズを見出すことを目標とし研究を行った。初年度は、1)免疫応答と非感染性炎症の時空間的制御の解析から①IL-5-venusノックインマウスの作出、②恒常的にIL-5を産生する原始IL-5産生細胞の同定、③肥満時に脂肪組織で発現が増加する分子、RP105の発見の成果を得た。また、2)免疫制御のin vitro評価系を利用した有用シーズの探索を行い、①IL-5産生を抑制する化合物のスクリーニング、②交叉提示能評価系、③IL-1βによる細胞死抑制物質のスクリーニングにより、抗アレルギー薬候補物質や免疫賦活剤、糖尿病薬として期待される化合物を得た。今年度(最終年度)は、これまでの結果を踏まえ、以下の2つの研究を実施した。1)自然免疫を制御する化合物の探索:生薬甘草成分のグリチルリチン及びイソリクイリチゲニンが、TLR4リガンドによるTNF-α及びIL-6の産生をin vivo及びin vitroで抑制する作用を見出した。また、その作用機序として、グリチルリチンはTLR4とLPSの結合を抑制し、イソリクイリチゲニンはTLR4とLPSの結合は抑制せず、その後のTLR4の二量体化を抑制することを明らかにした。2)非感染性炎症を制御する化合物の探索:初年度に見出したIL-1β拮抗作用を有する化合物Aの0.05%配合高脂肪食をマウスに給餌した結果、高脂肪食摂餌による肥満に伴い発現するインスリン耐性や高インスリン血症、高脂血症及び脂肪肝形成が改善された。これらの効果は、摂餌量の減少に伴う体重増加の抑制に一部起因しているものと推察された。
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http://www.toyama-yakuji.com
http://www.med.u-toyama.ac.jp/immbio/