研究課題/領域番号 |
23659250
|
研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
清水 宣明 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70261831)
|
研究分担者 |
脇坂 浩 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80365189)
片岡 えりか 三重県立看護大学, 看護学部, 助手 (50549293)
村本 淳子 三重県立看護大学, 看護学部, 学長 (50239547)
星野 洪郎 群馬大学, 医学部, 名誉教授 (00107434)
|
キーワード | インフルエンザ / 流行 / メカニズム / 小学校 / 地域社会 / コミュニティー |
研究概要 |
インフルエンザは毎年流行をみる社会性感染症で、近年、トリインフルエンザ流行の懸念とその対策の必要性が高まっている。しかし、流行の現場である地域社会における感染拡大のメカニズムが不明なために、効果的な感染制御法が見いだせていない。 本研究では、地域の小学校を拠点として定め、児童、教職員、保護者、地域住民にインフルエンザについての基礎的な知識とその感染防御法を教育した上で、実際にどのように感染が継続・拡大していくのかを詳細に記録して分析した。 その結果、小学校児童の流行は爆発的に拡大するのではなく、小規模な感染と発症が3~4か月にわたって漸次的に進行することが明らかになった。また、感染連鎖は長くは継続せず、学校外で感染した児童が他の児童数人に感染させることはあるが、それ以上には拡大せずに感染連鎖が一旦切れ、また新たな児童が学校外で感染してそれを学校内に持ち込むことの繰り返しであることを強く示唆する結果が得られた。この結果は、地域の流行が終息しない限り小学校での流行は終息しないことを意味する。2~4割の児童の家庭では、家庭内感染と思われる発症がみとめられた。しかし、児童が生活する地域社会でのインフルエンザの全体像は明らかではないため、その解明は今後の課題となる。 インフルエンザ発症児童の約5~7割に、発症認識直前の咳がみとめられた。潜伏期を3日間として感染連鎖の可能性を解析すると、発症直前の咳などから感染した可能性のある児童が約半数であったのに対し、発症欠席した後に治癒して登校した児童から感染した可能性のある発症パターンはほとんど確認できなかった。このことは、小学校におけるインフルエンザの児童間の感染は、発熱等で発症をはっきりと認識する直前の咳などによって起こっている可能性を強く示唆する。これらの結果は、今後の感染制御教育に有用な情報となる。
|