研究概要 |
平成24年度は、次の点について明らかにした。 全国23病院の職員11,417名(有効データ)に対して米国医療安全機関AHRQの日本版医療安全文化測定調査票による質問調査を実施した。質問項目は、医療安全に関連した意識、態度、環境等についての44項目で、「コミュニケーション」、「組織の取組・理解」、「教育・訓練」3領域12因子から構成される。平成23年度調査有効データ(5,118名)と比較すると全体の肯定的回答率は、僅かに平成24年度調査が上回った。平成23年度調査および平成24年度調査について、12因子(全体)平均では、それぞれ49.2%および51.9%、「コミュニケーション」では、50.2%および52.9%、「組織の取組み・理解」44.4%および47.7%、教育・訓練(第7因子)では53.2%および55.5%、報告数(第3因子)では64.0%および64.2%であった。また、第9因子人員配置はそれぞれ28.0%および30.5%で12因子のうちでもっとも低く、米国Sorraらの調査より約25%の差を認め、医療安全には十分な人員配置が必要であることが示唆された。 一方、A病院について、1,915名の職員の医療安全文化測定とともに直近のインシデントレポートのLag timeを算出し、医師と看護師について比較検討した。職員数、有効回答者数(回答率)、12因子の平均およびLag timeについて、医師:看護師は、235名:893名、85名:824名(36.2%:92.3%)、51.2%:49.2%、および6.6±11.7日:1.3±3.9日であった。この結果から、医療安全文化醸成度は医師の方が2.0%高く、Lag timeは5.3日長い。一般に医師の方が看護師より医療安全に対して関心が薄いとされ、われわれの予想と異なる結果となった。しかし、これには有効回答率が関係していると考えられた。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費 100,000円 (文献購入 50,000円、用紙代 50,000円) 旅費 300,000円 (会議 150,000円、成果発表 435,811円) その他 100,000円 (通信費 20,000円、印刷費 40,000円、複写費 40,000円) 計785,811円(平成24年度分285,811円を含む) なお、平成24年度執行予定であった285,811円について、執行予定の会議および成果発表の日程と大学行事等が重なり、執行することができなかったので、平成25年度に繰り越した。
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