研究課題/領域番号 |
23659265
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山口 悦子(中上悦子) 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60369684)
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研究分担者 |
中川 真 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (40135637)
朴 勤植 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90189738)
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キーワード | 医療の質 / 芸術 / デザイン / メディアコンテンツ |
研究概要 |
24年度は、前年度に作成したコンテンツ(ICT教育用映像)の評価を継続して行った。評価指標としては、WHOなどによる手指衛生の順守率等の国際的な状況・情報とも照らし合わせながら検討した。 また、前年度に行った芸術活動導入事業(デザイナーと病棟看護師による改善活動支援)についても、引き続き該当部署の改善活動を指導しながら芸術活動導入による①改善活動活性化への影響、②医療の質向上への影響、③その他の波及効果について観察を継続し、考察・検討中である。 24年度新たに始めた取り組みとしては、転倒転落事故防止のための教材制作(映像教材)である。病院の医療安全管理部および外部のクリエイターと協力して制作チームを結成した。25年度にこのコンテンツを用いた改善活動を企画して改善手法を確立し、映像や介入プログラムの効果を評価していく予定である。 さらに、外来の院内環境が医療の質に及ぼす影響の調査を開始した。外来壁面は掲示物・サイン・絵画・装飾などが混在し、情報提供と適切な療養環境提供の二つの機能を持っている。一般に、どの施設でも建築時には空間デザイン上、考慮されていたとしても、建設後の運用で、これら医療の質にかかわる二つの機能を十分に発揮できていない状況が発生していると思われる。そこで、24年度から実態調査に着手した。 24年度は、23年度以前の当院における芸術活動の導入状況とその効果についてまとめ、論文2本を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報収集や予備調査は順次行っているものの、院内の支援体制が大幅に変わったため芸術導入の具体的な事業が若干、遅れている。実施が遅れているプロジェクトに関しては、25年度内に完遂し、並行して分析・検討を行う。学会・論文発表などは遅滞なく行えている。
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今後の研究の推進方策 |
23~24年度に行ってきたプロジェクトの考察とまとめ(医療の質への影響やその指標について)を行う。また24年度に開発した転倒転落事故防止のためのDVDを用いた改善活動を実施して、映像や介入プログラムの効果について評価していく。さらに院内環境の調査と改善活動を実施し、その効果を評価する。全体として、芸術活動(アートプログラム、デザイン、メディアコンテンツ等)の医療の質に及ぼす直接的・間接的影響を考察し、指標となる項目の抽出を試みる。 次年度以降の研究に結びつけるため、他施設・他研究機関とのネットワーク構築を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度実施予定のプロジェクト(①「転倒転落事故防止DVDを使用した介入プロジェクト」、②「院内環境改善による院内壁面の情報提供機能・良好な療養環境機能の強化プロジェクト」)の実施と評価を実施。新規プロジェクト(アートプロジェクト)の実施。プロジェクト遂行やデータ分析に協力する研究補助者に対して謝金を支払う。23~25年度に行ったプロジェクトの成果発表と論文発表を行うため、学会、研究会、および各種打ち合わせ参加のための旅費や出版のための費用として使用する予定である。
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