研究課題/領域番号 |
23659266
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
澤口 聡子 帝京平成大学, 地域医療学部, 教授 (90235458)
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研究分担者 |
米山 啓一郎 昭和大学, 医学部, 教授 (60192431)
佐藤 啓造 昭和大学, 医学部, 教授 (20162422)
石島 正之 東京都市大学, その他部局等, 名誉教授 (70150696)
島谷 祐一 東京都市大学, 工学部, 准教授 (20154263)
京相 雅樹 東京都市大学, 工学部, 准教授 (20277825)
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キーワード | 個人識別 / 一卵性双生児 / 心電図 / 高周波 / ニューラルネットワーク / ディジタル時系列データ |
研究概要 |
今回の実験では、昨年度に加えて、更に次の測定を行った。安静状態の、 1)一卵性双生児3組(東京都市大学学生)及び 2)血縁関係のない健康成人として、昭和大学医学部学生100名 について、高周波識別心電図測定を行った。 心電図の誘導法は標準肢誘導の第一誘導・第二誘導を用い、電極はAg/AgCl電極を用い、ベッドに横たわった安静状態での測定を施行した。心電図は周波数帯域80~500Hzの高周波心電図と、同期用として50~500Hzの通常心電図を同時に測定した。測定システムの構成は、既存の生体アンプと自作した生体アンプを用い、増幅度はシステム全体で20000倍とした。検出された心電図はニューラルネットワークにて識別を行う為に、PC上で各デジタル処理を施した。解析のためのプログラムとして生体信号解析用ソフトIgorを用いた。前年のシステムでは、識別率を左右する波形の切り出し位置の基準として、通常心電図上のR波頂点を用いていたが、被験者によってはピーク位置が曖昧となって識別率の低下を招いた。今年度は、心電図の形状に対応した別の波系を通常心電図より算出し、この波形を頼りに基準位置を特定する新しい手法によるデータ処理を試みた。これによると、15名について、従来手法による識別率が96.8%、今回提案手法による識別率が98.9%となり、最低識別率は従来手法によると84%、今回提案手法によると94%となる(The Showa University Journal of Medical Sciencesに投稿中)。 現在、双子3組及び測定者100名について、従来手法と今回提案手法について、データ解析を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)当初、データ解析のために開発したプログラムが、測定波形の状態によって低い識別率をもたらすことが判明し、新しいプログラムを組んで、対応を測るのに、相応の期間を有したこと。 2)当初、多数の双子を測定対象とすることを予定していた、東京大学教育学部附属中等教育学校の倫理委員会において、研究申請の通過が困難な状況となり、双子を十分数確保することが困難な見通しとなったこと。
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今後の研究の推進方策 |
1)データ解析のためのプログラム上の問題点については、新しいプログラムを組むことによって、多様な波形に対して高い識別率を確保することとした。前年のシステムでは、識別率を左右する波形の切り出し位置の基準として、通常心電図上のR波頂点を用いていたが、被験者によってはピーク位置が曖昧となって識別率の低下を招いた。今年度は、心電図の形状に対応した別の波系を通常心電図より算出し、この波形を頼りに基準位置を特定する新しい手法によるデータ処理を試みた。これによると、15名について、従来手法による識別率が96.8%、今回提案手法による識別率が98.9%となり、最低識別率は従来手法によると84%、今回提案手法によると94%となる(The Showa University Journal of Medical Sciencesに投稿中)。 2)一卵性双生児の測定対象数を増やすため、日本双生児学会等に呼びかけ、双子を公募することとする。一方、分担研究者に、東京大学教育学部内の研究者を加えることを、異なるルートから再考慮する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、起案していたように、東京大学教育学部附属中等教育学校において双生児多数例を測定対象としてすすめる事が、先方の状況により、困難な状況となった。現時点で、正常健常者の測定数は十分に確保したが、双生児測定数は4例のみである。今後双生児を公募して確保し、測定にあたるため、公募期間を含み、1年延期し、この延期期間の測定の費用を未使用額として確保した。 公募により、測定対象として認められた一卵性双生児を対象とする高周波心電図測定における測定者・被測定者への謝金と、論文作成・結果発表のための諸経費にあてる。
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